☆妄想の釜:奈落の碗
□PART2
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<高遠家>
あ「こんにちはー」
和「あれ!静奈ちゃ……じゃなくて、えっと……」
日「あやめさん」
和「あ、そうそう、あやめちゃん。どしたの」
あ「着流しさんとお兄さんの癒着を小耳に挟んだから来た。着流しさんばっかりずるいわ」
和「癒着って……」
日「お茶煎れますから奥にどうぞ。和さん、案内してやって下さいな」
和「うん、解ったー」
あ「お邪魔しまーす」
★ ★ ★
和「あやめちゃん、しのぶくんは?」
あ「それよりお兄さん、縁側でねこじゃらし揺らして猫の気ぃ引こうとしてるのに無視されてる人、誰?」
和「………………。三笠さん、もう諦めましょうよ……。それ30分前からやってるでしょ……」
三「…………。くそ、今日こそは、と思ったんだが……」
和「食物で釣るのが一番ですよ、やっぱり」
あ「お兄さん、解ってないなあ。食べてるとこ見たいんやなくて、一緒に遊びたいんよ」
三「その通りだ。全く解ってないな一柳くんは」
和「す、すいません……」
あ「自分は何もしなくても向こうから寄って来るからって」
三「人気者には所詮理解出来ん悩みなんだろ」
和「ええと……」
あ「優しい顔して、残酷な人やわあ」
三「こーゆーのが一番タチが悪いんだ」
和「あの〜」
あ「自分がどんだけ罪作りかすら知らないんやから」
三「酷い男だ全く。それで何匹騙したんだ?」
和「『匹』?……猫ですか!?」
あ「きっとあちこちに待たせてる猫がおるんや」
三「何!?それは聞き捨てならんぞ一柳くん!!」
和「ちょっ……」
あ「そんでお兄さんを諦めかけた頃にまた現れて、優しくするもんやから忘れられんのよ」
三「貴っ様〜……」
和「えっ?僕悪者ですかっ!?」
あ「でもお兄さんに悪意がない事を知ってるから、憎む事も出来ない……ああ可哀相〜」
三「な、なんて奴だ……猫好きの風上にも置けんぞ!」
和「置かなくていいですから、人聞きの悪い事言わないで下さいっ!?」
日「……どうしたんです和さん?半泣きで」
あ「着流しさん、お兄さん酷いんよ〜。いい人やと思ってたのに、うちショックやわあ」
三「ああ、酷い奴だ。危険人物として報告する必要があるな。猫集会で」
和「違うーーーー!!!!」
日「…………。お二人さん、和さんをあんまりからかわないで下さいな」
あ「だって面白いんやもん」
三「見てて飽きん。猫の代わりだ」
和「人をおもちゃにしないで下さいっ!!??」
日「なんか出会っちゃいけない二人が出会っちまった感じだなぁ……」
和「……僕もそう思う。……うう……」
意気投合で、完。