★妄想の釜:奈落の碗
□僕の名は
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<応接室>
ア「『ちゃん』付けは知ってるけど、『たん』なんて呼び方があるんだね。知らなかったよ」
デ「貴方は知らなくていい知識です」
千「萌えるのにー」
和「この場合萌えは関係ないと思うんだけど」
千「いやいや、萌えは重要ですよ!そんな雑学も知らない伯爵として、王子が公の場で恥をかく姿がありありと見えます!」
和「はあ?……執事さん、千絵子さんの言う事なんか気にしないで――」
デ「む!それもそうか……。他にはどんな呼び方がある?チエコ」
和「執事さんっ!!??」
三「『和ちゃま』とか『和たま』もあるぞ」
和「貴方は発言しないで下さいっっ!!??」
千「『和くん』も捨て難いですよね!」
和「千絵子さんも黙ってぇっっ!!??」
ア「え、『和くん』は普通なような気がするんだけど」
千「王子は甘いですね!あえて普通っぽい呼び方をして萌えさせるのが上級者なんですよ!みーさんをごらんなさい!!」
和「千絵子さん!!アルを騙さないでっっ!!??」
デ「上級者!!??……一柳様、これからは私も『一柳くん』と呼びます」
和「ああっ!!??1番素直な人が騙された!!??」
三「待てディートリヒ。執事が客人に対して『くん』付けなのは、かなり問題があるぞ」
和「ですよね三笠さん!言っちゃって下さい!!!!」
三「だから『一柳さま』もしくは『和さま』と平仮名にすればいいだろう。なら普通っぽく、かつ萌える」
和「一瞬でも貴方に期待した僕が馬鹿でした!!!!」
三「『や』や『ぃ』、『君様』を付ける方法もあるが、これは一柳くんの名前には不向きだな」
千「『や』なんて『なごや』になっちゃいますからね!」
和「はっ!――12人の妹!!??12人の妹の話をしてるのか!!??」
ア「え?和はそんなに沢山の妹がいるの?」
デ「随分と子沢山の家庭なのですね。ご両親の仲がよろしいのは結構ですが、計画的な子作りをした方が」
和「いないから!姉一人でも大変なのに、妹12人もいないっていうかいらないから!!!!」
ア「結局一番萌えるのはどの呼び方なんだい?」
和「聞かないでっっ!!??」
三「適当にでも決めておかないと、この話題は永久に続くぞ」
和「諸悪の根源が言わないで下さいよっ!?……あーもう、なら『和ちゃま』が一番萌えるって事でいいよ!!!!」
三「やけくそ気味なのが気になるが、まあいいだろう」
千「だそうですよ!王子!!」
ア「日本語は奥が深いねえ」
デ「では食事の用意を、一柳さま」
和「も、好きに呼んで……」
ハ「……………………」
★ ★ ★
和「失踪は狂言だったの?日織」
日「はい、そうだったんです。ご心配おかけして申し訳ない、和ちゃま」
和「!!??」
悪夢再来で、完。