★妄想の釜:雨格子の碗

□僕の先輩は
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日「和さん和さん、よく話に出て来る和さんの先輩って、どんな方ですかい?」

和「うーん、世話好きで優しい人だよ」

日「へえ……。もう少し詳しく知りたいんですが」

和「……?」

日「や、ただの好奇心ですよ?別に他意はありませんや」

和「好奇心以外に何があるの……?まあいいや。先輩は結構悪戯好きかな」

日「ふむふむ」

和「たまに僕をからかったり騙したりするかな。でも悪い人じゃないよ?」

日「和さんにかかると『悪い人』なんかいないと思いますがね……」

和「何か言った?」

日「いえ何にも」

和「僕が月末に苦しい時に、何かと差し入れくれたり、ご飯おごってくれたりするし」

日「ほほう。……なかなかやるな……」

和「何か言った?」

日「いえ、何にも?」

和「……?それにわざわざ僕ん家に来てご飯作ってくれたりとか……」

日「そ、そこまでするんですかい!?」

和「え?変かな?掃除とかもしてくれるんだけど……」

日「な、なんと……」

和「あ、それにお菓子くれたりもする。辛くないやつ」

日「…………お菓子?」

和「うん。こないだチョコレートくれた」

日「ちょっ……こないだって……まさか2月14日ですかい?」

和「うん、そうだよ。よく解ったね」

日「あの……和さん。その先輩って……女の方ですかい?」

和「あれ、言わなかったっけ?」

日「初耳ですよ!?今までてっきり男の先輩だとばかり……じゃなくて、和さん……」

和「親切な先輩だよ、本当……どうしたの?変な顔して」

日「……『親切』って……。いえ、初めてその先輩に同情したんでさぁ」

和「?」


自覚なしで、完。

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