★妄想の釜:氷の碗

□プロジェクトM
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<執事室前>

日「さて、体調不良のエリノアさんを手助けする為に、俺らがメイドになる事になりましたが」

和「いや、メイドじゃなくて執事だから!」

日「こんな事もあろうかと、メイド服を用意してあります。和さん、さあ」

和「『さあ』じゃないよっっ!!ってかそれ絶対不純な目的で用意してたよねっっ!!??」

日「こういうのは形から入らないといけません。という訳で、さあ」

和「だーかーらー、『さあ』じゃないっての!!メイド服なんか着ないからね!!??」

日「サイズは肩幅から腰周り、丈までぴったりのはずですが」

和「サイズの問題じゃないっっ!!……あれ?なんで僕の服のサイズ知ってんの?」

日「ちょいと雛さんを買しゅ……いや何でも」

和「僕の家族に何やってんの!!??」

日「何にもやってませんて。ただ今後のお付き合いを円滑にする為に、贈り物をしただけです」

和「条件付きでだよね、それ!!てかどーせ着ないから!!メイド服は!!!!」

日「折角用意したってえのに……」

和「ならお前が着ておけよ!だったら無駄にはならないから!!」

日「既に一度袖通ししてますぜ」

和「ちょっ……自分が着たやつを僕に着せる気だったの!!??」

日「メイド服に移った、俺の仄かな体臭を感じて欲しいあまり」

和「気持ち悪!!!!」

日「という訳で、さあ」

和「尚更嫌だから!!!!ってか、その『さあ』っての止めてくんない!!??そこはかとなくイラッとするから!!!!」

日「そんなに嫌なんで?」

和「聞く意味からしてわかんないよっっ!!!!」

日「了解しやした。今後『さあ』は言いませんや」

和「メイド服だよ!!!!!!」

日「あ、そっち?仕方ねえなあ……。んじゃ俺が和さんの代わりに着ますよ……」

和「うん、そうしてよ!!」

日「そして皆様には『和さんに着用を命じられた』と」

和「待てーーーー!!!!僕を変態にするつもり!!??」

日「事実でしょ」

和「『命じた』辺り、語弊がありまくりだよね!!」

日「じゃあ『お願いされた』ならどうですかい?」

和「お前がメイド服を着る理由に、僕の名前を出すなーーーー!!!!!!」

日「解りやした。なら『眼鏡の日本人』と言っておきます」

和「僕じゃん!!僕しかいないじゃん!!!!――あーもう、お前も着なくていい!!!!」

日「えー?」

和「何残念そうにしてんのっっ!!??」

日「俺のメイド服姿を見て、和さんがときめいたりする可能性がありますんで、それも捨て難いかな、と」

和「ときめくどころか鳥肌が立つよっっ!!!!いー加減にしろーーーー!!!!」

バキィ!!!!

日「はぐふぅっっ!!!!」

ばたり。

和「ふう……手伝う前から疲れたよ……」

ガチャ……

エ「あの……」

和「あ、すいませんエリノアさん!!五月蝿くしちゃって……」

エ「いえ、お手伝いして頂く前に、準備をして下さいますか?」

和「へ?」

エ「はい。こういうのは形から入らないと格好が付きません。ですからこれを着用下さいませ」

和「…………。…………。……何ですか?これ」

エ「メイド服です。いきなり執事は無理でしょうから、執事の指示通りに働くメイドになって頂こうかと」

和「…………。…………。…………。……………………………」


ループして、完。

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