過去拍手『兄弟衝突』

□だから、君が必要なんだ
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[拍手小話21]

※最初で最後になるかもしれない、原作2ndver.の小話です。エンジェル侑介は汚しませんが、それ以外は結構酷いです…心してお読み下さいませ…m(__)m


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「僕…昴くんには、ちぃちゃんが絶対に必要だと思った」



琉生はリビングに揃う兄弟たちを前に、そう断言した。


「珍しいね。琉生がそういう言い方をするなんて」


雅臣がやや驚いた様子で反応する。

「琉生はどんな時でも彼女の味方でしたが…彼女に昴が必要、ではなく、昴に彼女が必要、なんですか?」

琉生の言い回しに右京が尋ね返す。

「そう…昴くんには、ちぃちゃんが絶対に必要なの…」

「それはまた、どうして?」

要も同様に聞き返す。


「俺は分かる。琉生の言いたい事が」

珍しくマンションに来ていた光が要の言葉に割って入ってくる。

「ひーちゃん、来てたの?」

「あぁ。久々に琉生に髪のトリートメントをしてもらいにな」

男の格好に戻っても、その長髪はそのまま綺麗に保たれていた。
琉生のケアにより、よりサラサラになった髪を指ですく。


「侑介んとこ行ってきた。アイツ、良い男になったな」


その光の言葉に、その場にいた兄達は全員、泣きそうな顔に笑みを浮かべた。

「それでー?琉生が言う、昴にカノジョが必要なワケって?」

「まぁ確かに昴にも必要だってのは分かるけど…その点は僕らにしたって同じじゃないのかな」


椿と梓が琉生に回答を促すと、琉生は立ち上がり、妹が来て初めての夏に行った別荘での写真の入ったフレームを手にした。


「これ…見て」


琉生が指し示すのは、話題の人物、昴。

「あと…これも」


琉生は他の家族写真や、最近の昴の写真が掲載された雑誌もテーブルに広げた。

「…見たけど」

雅臣が写真を見てそう言うが、琉生の意図が分からず、疑問符を浮かべる兄弟たち。

すると、琉生はそれらを順に並べ替えた。


「こっちが昔…そして、今」


端から端へと、指を滑らせる。
昴の過ごした年月を追うように。

「何か気付かないか?」


一人だけ理解出来ているらしい光が兄弟たちを伺う。


「たかだか四、五年じゃ容姿も変わる訳じゃないし」

「ぜんっぜん、わかんなーい!」

「何か、って言われても…すばちゃんの髪が伸びてるくらいしか違いが分からないよ」


写真を見比べて、降参と言ったように両手を挙げる梓、椿、要。


「それだよ…要兄さん」

「…は?」


要の言葉のどこに正解があったのか、光を除く全員が全く分からない。


「昴くん…髪、伸ばした」


「…え?琉生、ちょっと待ってくれるかな?」

「髪くらい伸びるでしょう。それに、」


まだ意図が分かず写真を見比べる雅臣と、右京が最初の集合写真を指して言う。

「髪型が変わっているのは昴だけではありませんよ?要も、今はいませんが祈織や風斗も変わっています」


しかし、琉生は首を横に振る。


「みんなは…変えただけだけど…昴くんは…必要だった」


「プロになるのに規制とか?」


梓が言うが、高校球児じゃあるまいし、な話だ。
当然琉生はまた首を振る。


「昴くんの髪は…危険」


「キケンーっ!?」


穏やかでない琉生の発した単語に、椿が反応する。

言葉の少ない琉生の説明に、光が助け船を出す。


「この別荘の写真の昴を見て、正確には昴の髪を見て、どう思う?」

「んーと、デコ★」

「直球すぎるよ、椿。でも、確かにおでこが随分出てたよね」


光の示す部分に椿と梓が答えると、光はうんうんと頷き、

「額が広い…ならいいんだけどな…」

そう言った。
その呟きに要がハッと反応する。

「危険って…もしかして、すばちゃんの額は…!?」

「流石、要。回転が早い」

「そう、要兄さん…昴くんの髪…ううん、髪と言うより」


琉生は更に具体的になる様に、昴の額の一部をコツコツとつつく。

「生え際…後退してるの」


……全員、絶句。


「実は昴くん…結構全体的に危険…頭頂部も危ない…だからケアしてって、ずっと言ってたのに」

「そ、そんなに危ないかな?」

雅臣がまじまじと昴の写真を見比べる。
確かに言われてみれば、後退した額を隠す為に前髪を伸ばしたと言われても納得は出来なくはない。
それだけ、髪が短かった頃の昴の額は見事だった。

「けれど、亡くなった父も含めて、私達の誰も、そういう状態になりかけている者はいませんよ」

「きょーにー、そーゆー状態ってさ、ズバリ言っちゃえばいーじゃん、“ハゲ”って」

「椿…直球すぎるよ…」


頭を抱える梓は、自分の前髪を軽く引っ張る。
確かに、昴にはこんな感じはなかったな、と思いながら。


「その点は隔世遺伝とかもあるからな、一概には言えないだろ」

「で、琉生、ひーちゃん。そのすばちゃんの髪と妹ちゃんにどんな関係が?」


可能性を唱える光に改めて問いかける要。
答えるべく、琉生は今度は同じ写真の中の妹の立派なサイドテイルを指す。


「ちぃちゃんは…逆」


けれど、やはり一度で琉生の言いたいことを読み取るのは難しい。
兄弟たちは光に解説を促す。


「琉生曰くな、妹サンは絶対にハゲない家系なんだそうだ」

「いえ、ハゲ…って、彼女は女の子ですし」

「ちぃちゃんの髪触ってたから…分かる。ちぃちゃんの髪質はとても良いの。だから…ちぃちゃんのが入れば、昴くんの子孫もきっと大丈夫…!」

「子孫って…また随分と凄い事になってるね」


右京や雅臣はそう返すが、実際、昴に彼女が必要な訳は未だにハッキリしない。


「全然凄いことじゃないよ…とっても大事…ちぃちゃんの髪質が入らないと、昴くんの子供とか…絶対に…絶対にハゲちゃうの…そんなの許せない…!ハゲなんて…ハゲなんて…!」


「お、おーい、琉生ー?」


「ハゲなんて…何の楽しみもないのに…絶対に許せない…!」


ヒートアップする琉生に兄弟全員引き気味である。


「琉生って…こんなキャラクターだったっけ…」

「言うな梓。それだけ髪に対する想いが熱いってことだ。…ちなみに、」


そう言って、トリートメントしたサラサラの髪をはらって光が続ける。


「俺も髪ケア賛成派。ハゲとか可哀想だろ?琉生が妹サンの遺伝子が入ればハゲは後世には引き継がれないって言うからな」


「…もしかして、妹ちゃんがすばちゃんのところに行くのを、ひーちゃんが手助けしたって言うのは…!?」


気付いた要に、ニヤリと笑みを浮かべて、光は答える。


「『髪は男の命』って言うだろ?」


「言わないよ」

「言いませんよ」

「言わないな」

「言わなーい」

「言わないね」


五人が同じ反応を示す。


「言うから…そんなこと言ってると…みんな、危なくなっちゃうんだから…」


琉生の不気味な言葉。全員がハッと頭を押さえる。

そして、ニッコリと笑いかけた。

「今日からみんな…スカルプケアとトリートメント…必須、ね?」


『だから、君が必要なんだ』〜終わり〜


本当にすみませんm(_ _;)m

ずっとすばちゃんのデコの生え際がヤバいと思っていたんですが、なんか本を読んでたら『頭頂部がヤバい』って書かれてまして…


つまり、昴は全体的にヤバいんだ

逆に絵麻は髪の量、多すぎるよな


…そうか、補ってんのか…!!


…で出来たのがコレでした。

私の少ない良心が、光が発した侑介への言葉です。


拍手有難うございましたm(__)m


2014/03/29
藤堂市松 拝



〜拍手移動後の後書き〜


一番酷い小話と言っても過言ではないでしょう…。


私、これでもゲーム始める前に友人から勧められたキャラクターは

『棗と昴』


だったんですけどねー(苦笑)。


多分、元彼と付き合う前なら昴も行けたんでしょうが…


最近は脳筋には惹かれない(苦笑)。

やっぱり元彼と別れてこっち(乙女向けの世界)に戻ってくるきっかけになったのが

『彼氏以外〜彼の弟との過ち〜』

だったのが、今の嗜好に大きく影響してますね。


昴ファンの皆様(ある意味琉生ファンの皆様も)、


大変失礼を致しました。


2014/04/30
藤堂市松 拝

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