過去拍手『兄弟衝突』

□コドモの野望 オトナの浪漫
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[拍手小話9]


お兄ちゃんばっかりだった僕にできた、たった一人のお姉ちゃん。

そう、僕は今日、


前からイダいていたヤボウを果たすのだ!




「ねー、まーくーん!お姉ちゃんはー?」


弥はリビングを覗き込みながら、ソファーでコーヒーを飲む雅臣に問いかける。


「お姉ちゃんなら、宿題があるからってお部屋に戻ったよ。それより弥、早くお風呂に入りなさいって言ったよね?」


見れば弥は、寝間着ではなく普段着のままで、まだお風呂には入ってはいないらしかった。


「なーに?チビはまだ一人でお風呂にも入れないワケー?」

珍しく、リビングで自身出演のバラエティーを観ていた風斗が弥をからかう。

「こら風斗。弥、一人じゃ入れないのかな?」


風斗をたしなめた雅臣が再度カップに口をつけながら尋ねる。
今日も弥と一緒にお風呂かな、と残ったコーヒーを飲み干そうと口に含む。


「うんとね♪今日はお姉ちゃんと一緒に入ろうと思って!!」


ブフーーーッッッッッッ!!!!!


「うわっ!まさにー汚なっ!」

斜め向かいに座っていた椿が慌てて身を捩る。

「ごっ、ゴフッ、ごめっ、つばっグフッ!」
「雅兄、大丈夫?」

むせて勢いよくコーヒーを吹き出した雅臣に、近くのテッシュの箱を差し出しながら、要は弥に目を向けた。

「つーか、わた…今、とんでもない男の浪漫をあっさり口にしたね…」

「まろん?」

「それは栗。浪漫だよ。夢とか野望とか、まぁそんな意味の言葉」

ボケた訳ではない弥だが、往来の突っ込み気質により梓が訂正を入れる。


「うん!そう!ヤボウ!僕のヤボウなの!」


じゃーん♪と、腕に抱えていた、お風呂に浮かべるアヒルのオモチャを掲げて弥は叫ぶ。


「お姉ちゃんとお風呂入って、頭洗ってもらって、お返しに僕がカラダを洗ってあげて、一緒にお湯につかってアヒルさんで遊ぶの!」

「させるかぁぁーーッッッ!!!」

弥の高らかな野望の宣言に、腕を振り上げて椿が叫んだ。


「いーか弥!!いもーとと一緒にお風呂なんてなー俺だってまだ出来てないんだぞー!!」
「うん、『まだ』じゃなくて、きっとこれからも出来ないけどね、椿」
「それを頭洗ってもらうとか、カラダ洗うとかそんな、『あはんうふん』なシチュエーションを、この俺が許すと思うなよーっ!?」
「『あはんうふん』は椿の勝手な妄想だけどね。まぁとりあえず僕も許さないけど」
「ちょっとー!梓は一体誰の味方なのさーっ!?」
「もちろん妹の、だよ」
「はいはい、一卵性漫才はどっちかの部屋でやってね、つばちゃん、あーちゃん」

永遠に続きそうな椿と梓のやり取りに要がストップを入れた。

「わ、弥…弥は小さいコドモじゃないだろう?もう立派なお兄ちゃんじゃないか。だからお姉ちゃんと一緒にお風呂って言うのは、ちょっと、あのね…」

コーヒーでのむせ返りから復活した雅臣が、何とか弥をとどめようと試みるが、

「えー?まーくん、僕はまだコドモだよ?」

弥はきょとんとしながら自分を指差してそう答えた。



「だって、まだツルツルだもん!」



「…え?」

弥の言葉を理解出来ない雅臣は、妙な間を空けて尋ね返す。


「ダイチくんが言ってたよ?ケが生えたらオトナの男だって!僕まだ生えてないもん!だからコドモ!コドモは女のヒトとお風呂入ってもいいんでしょ?」


「ケ…って…?ケ…?ケ…」
「あぁ、多分今、雅兄の頭ん中は正常に働いてないね」
「ケって毛?」
「毛だね」
「つばちゃんとあーちゃんは理解早すぎ」
「…ぷっ、ふっふふっ、ははっあははっ!」


可愛がっている弥の口から飛び出した卑猥な用語に放心の雅臣と、取り囲む三人の耳に、リビングにいたもう一人の笑い声が届く。

「あっはっはっ!笑わせてくれるよねチビっこ!毛が生えたらオトナだなんて、ガキの低レベルな性知識とかマジ笑えるんだけど!」


「むーっ!ふーたん何で笑うのー!?ケが生えたらオトナなんじゃないの!?僕はツルツルだからコドモなんじゃないの!?」


「ち・が・う・よ」


フフンと鼻を鳴らして風斗が腕を組み、弥を見下すように顎を上げる。


「剥けたら、オ・ト・」
「うわあぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っっっっ!!!風斗ストップストップそれ以上言っちゃ駄目〜〜っっ!!!」


弥にこれ以上の卑猥な言葉を聞かせないように、雅臣は風斗の口を手で塞ぐ。


「弥〜!そんな言葉は使っちゃいけないよ!?風斗も!アイドルなんだから、むっ剥けっ…とか、駄目だから!?要みたいになっちゃうんだからね!?」

「うわ〜雅兄、それリアルにひど〜い。要、生えちゃう、いや、剥けちゃう?」
「かなにーはとっくに生えてるし剥けてるクセにー」
「あ、分かっちゃった?」

てへ、と似合わない動作でおどける要。

「そんな事言うから言われるんじゃない、かな兄。だけど剥けたらオトナってのも違うと思うんだけど、椿はどう思う?」

梓の問いに椿は、んー?と一瞬考えて答える。


「ヤったら?かなー?」
「…成る程ね」


頷く梓。
だが、要がそれに首を振った。


「いや、つばちゃん。その定義はやめてあげて」
「どーしてさ、かなにー?」


軽く肩をすくませ、足元に…いや更に下の階下に視線を投げる。



「それだと成人したすばちゃんの立場がないから」



「「…成る程」」




「ねー?ふーたん?むけたらって何が?何がむけたらなのー!?」
「むーむっんっんっ!むむっ!」
「弥〜!もうやめて!やめよう!やめようね!?」



普通に卑猥な言葉を交わしているこちらの三人に対し、あちらの三人はまだ、言う言わない言ってはいけない、でバタバタしている。


「ねー、アレ、どう収集つけんの?」
「その内、雅兄が疲れて風斗がキレて終わると思うから放っておいていいんじゃないかな」
「そうだね。とりあえず妹ちゃんと一緒にお風呂は阻止出来てるみたいだし、ね」
「「うん、そこが一番大事」」



うんうん、と頷きあう三人。


向こうでは口を塞がれた雅臣の手を剥がした風斗がとうとうキレて「うっざ!上と下、超ウザっ!」と叫んでリビングを飛び出し、雅臣は精神力を使い果たしてソファーに沈み込んだ。


「ねーっ!結局オトナって!?オトナのまろんってなんなのー!?」


弥の疑問の声がリビングに響く。



「まろん、じゃなくて浪漫。それが分からない内はコドモかもね、弥」

でも一緒にお風呂は許さないけど、との梓に、椿と要、うんうんと首を縦に振るのであった――。



『コドモの野望 オトナの浪漫』〜終わり〜


とことん下ネタ。
昨日から下ネタしか書いてない藤堂です。
うちの拍手、ランダム表示なんですが、一発目でこれが出たら、もう本当にごめんなさいです…。

ちなみにお友達の名前は
弥→ワタルといえば『魔神英雄伝ワタル』→ワタルとくれば『魔動王グランゾート』→グランゾートときたら主人公は大地→で、ダイチくんになりました。


拍手有難うございましたm(__)m


2014/02/19
藤堂市松 拝



〜拍手移動後の後書き〜


改めて見ても下ネタ酷いっすね( ̄▽ ̄;)


ちなみに構想当初は風斗が完全に局部の名称を口に出していたりしてたので、もっと酷かったです。

これでも大分抑えました(苦笑)。

ところでさ、すばちゃんもDTでいいんですよね?
そこは間違ってないですよね?


お読み頂き、有難うございましたm(__)m


2014/03/04
藤堂市松 拝

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