過去拍手『兄弟衝突』
□Sweet Sweet My Bros.?
1ページ/1ページ
[拍手小話3]
夕方まででお仕事が終わった風斗くん。
久々に会える、そう喜んだわたしだったけど。
『姉さん、このDVD、今晩観たいから借りておいて』
そう書かれたメールに従ってレンタルショップに立ち寄ってきた今日。
…相変わらず、パシリさせられるのね、わたし…。
そして、今、風斗くんと、わたしの部屋で一緒に映画を観ている。
ベッドに背を預け、クッションにもたれてラグに並んで座って。
あの有名俳優の作品だ。
「甘いもの食べたくなっちゃった…」
エンドロールが流れる中、わたしは口寂しさを覚えた。
「短絡的ー」
風斗くんが呆れた目でじとーっとわたしを見る。
「いくらチョコの工場の話だからってさ。ホント、単純な思考回路をしてるよね」
「短絡的で単純で、悪うございました!」
ぷくっと頬を膨らませて、否定の意味を込めて、表面だけの肯定の言葉を口にしてみた。
「そう、いいよ、それが姉さんなんだから。ほら、そんな、よりブサイクになるカオしないでよ」
膨らませた頬を両側からぺちんと手で挟まれ、元の形に戻される。
「むぅ」
その手を引き剥がして、立ち上がろうとしたけれど、腕を掴まれ、再び座らされる。
「太るよ」
ピタ、とわたしは動きを止める。
「お菓子取りに行こうとしたんでしょ?」
「…何で分かったの?」
「この展開で分からないと思えるのがまた、姉さんの短絡的で単純なとこー」
「むむ…」
行動を読まれていたことも不満だけど、それよりも今は甘いもの気分なのだ。
けれど、年頃の女子としては。
やはり、そこは気になる訳で。
しかも、注意をしてきた相手は、わたしの………な訳で。
(…の部分は推して知るべし)
でも、でも…
「『でも甘いものー』ってカオしてる。いい?姉さん。僕はね、姉さんのタメを思って言ってるんだよ?普通の容姿なクセに、その上、太りなんてしたら立つ瀬ないでしょ?」
いちいちカチンと来る言い方だけど…まあ、風斗くんの言い分は分かる。
風斗くんはプロポーションとか筋肉とか、バランスや維持の為に、毎日努力をしているから。
それでも、それでも今日は何故だか、無性に甘いものが欲しい気分なのである。
葛藤に悶々としていると、風斗くんが「はぁ〜」あからさまなため息をついた。
「しょうがないね。姉さん、それじゃ、とびっきりの甘いものをあげるよ」
「えっ!?」
いつもならあり得ない風斗くんの言葉に顔をあげると――
ちゅっ
唇に、柔らかい感触と微かな水音。
「ふ、ふっ、風っ…!?」
「ふふっ、甘かった、でしょう…?」
「なっ、何がっ…!!?」
ちょっとでも動けば触れてしまいそうな距離のまま、風斗くんが怪しく囁く。
「僕のキスだよ?甘くないワケ、ないよね?」
口角を上げてニヤッと笑い、
「仕方がないから、僕が姉さんのスイーツになってあげたんだよ」
感謝してよね
と、恩着せがましく呟く。
「あっ、甘くなんかっ…ないよっ!!」
恥ずかしさで真っ赤になった顔を隠したくても、さっきからずっと掴まれたままの腕は、加えてもう片方も同様に封じられてしまって、身動きも取れない。
「あれ?甘くなかった?……そっか」
怪しい色を更に纏わせ、風斗くんは舌舐めずりをして、唇を濡らす。
「深さも長さも足りなくて甘さを感じられなかったんだね…ゴメンね姉さん」
近い位置から舌を伸ばし、わたしの唇をペロッと舐めあげる。
「もっと、もっと…味あわせてあげるよ……甘い、僕を…ね」
そしてその言葉通り、わたしの味覚を感じる部分には、徹底的に風斗くん自身の甘さが与え続けられることになった――。
もう、甘いものが欲しい、なんて
――言わなくはない、です、けど、(照)。
足りなかったのは、甘いもの?
――それとも――?
〜終わり〜
ブラコン拍手3つ目★
拍手有難うございます♪
風斗、大好きなのに難しい。
俺様ツンツンS系年下って…
ツンと、エロ甘い部分との比率がホントに難しいです。
ちなみに観ていたDVDはすぐにお分かりの通り『チャーリーとチョコレート工場』です。
別にバレンタイン間近だからコレだった訳ではなく、ただ単にお菓子(甘いもの)が出る映画で、かつ風斗の好きな俳優って中で浮かんだのがコレだっただけです。
バレンタインならもうひとつありますもんね。
拍手有難うございましたm(__)m
2014/02/04
〜拍手移動後の後書き〜
拍手公開時にタイトルをつけ忘れていたので、設定しました。
『とっても甘いものは、わたしの弟…?、それとも…?』
なニュアンスで受け取っていただけたら。
風斗は策士であり、エロくて、しかもどこか幼い独占欲の激しい子供であって欲しいと思います。
拍手移動にあたり、風斗の台詞を微妙に修正しました。
この小話とSSにデップ主演タイトルが出てきますが、私は別にデップがめちゃくちゃ好きな訳ではありません。
私、基本的に日本人顔が好き(笑)。
お読み頂き、有難うございましたm(__)m
2014/02/15
藤堂市松 拝