過去拍手『兄弟衝突』

□Sweet Sweet My Bros.?
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[拍手小話3]


夕方まででお仕事が終わった風斗くん。
久々に会える、そう喜んだわたしだったけど。


『姉さん、このDVD、今晩観たいから借りておいて』


そう書かれたメールに従ってレンタルショップに立ち寄ってきた今日。

…相変わらず、パシリさせられるのね、わたし…。



そして、今、風斗くんと、わたしの部屋で一緒に映画を観ている。
ベッドに背を預け、クッションにもたれてラグに並んで座って。


あの有名俳優の作品だ。



「甘いもの食べたくなっちゃった…」


エンドロールが流れる中、わたしは口寂しさを覚えた。


「短絡的ー」

風斗くんが呆れた目でじとーっとわたしを見る。


「いくらチョコの工場の話だからってさ。ホント、単純な思考回路をしてるよね」


「短絡的で単純で、悪うございました!」


ぷくっと頬を膨らませて、否定の意味を込めて、表面だけの肯定の言葉を口にしてみた。


「そう、いいよ、それが姉さんなんだから。ほら、そんな、よりブサイクになるカオしないでよ」


膨らませた頬を両側からぺちんと手で挟まれ、元の形に戻される。

「むぅ」


その手を引き剥がして、立ち上がろうとしたけれど、腕を掴まれ、再び座らされる。



「太るよ」



ピタ、とわたしは動きを止める。

「お菓子取りに行こうとしたんでしょ?」
「…何で分かったの?」
「この展開で分からないと思えるのがまた、姉さんの短絡的で単純なとこー」
「むむ…」


行動を読まれていたことも不満だけど、それよりも今は甘いもの気分なのだ。


けれど、年頃の女子としては。


やはり、そこは気になる訳で。


しかも、注意をしてきた相手は、わたしの………な訳で。
(…の部分は推して知るべし)


でも、でも…


「『でも甘いものー』ってカオしてる。いい?姉さん。僕はね、姉さんのタメを思って言ってるんだよ?普通の容姿なクセに、その上、太りなんてしたら立つ瀬ないでしょ?」


いちいちカチンと来る言い方だけど…まあ、風斗くんの言い分は分かる。
風斗くんはプロポーションとか筋肉とか、バランスや維持の為に、毎日努力をしているから。


それでも、それでも今日は何故だか、無性に甘いものが欲しい気分なのである。


葛藤に悶々としていると、風斗くんが「はぁ〜」あからさまなため息をついた。


「しょうがないね。姉さん、それじゃ、とびっきりの甘いものをあげるよ」

「えっ!?」


いつもならあり得ない風斗くんの言葉に顔をあげると――



ちゅっ



唇に、柔らかい感触と微かな水音。


「ふ、ふっ、風っ…!?」
「ふふっ、甘かった、でしょう…?」
「なっ、何がっ…!!?」


ちょっとでも動けば触れてしまいそうな距離のまま、風斗くんが怪しく囁く。


「僕のキスだよ?甘くないワケ、ないよね?」


口角を上げてニヤッと笑い、


「仕方がないから、僕が姉さんのスイーツになってあげたんだよ」

感謝してよね



と、恩着せがましく呟く。



「あっ、甘くなんかっ…ないよっ!!」


恥ずかしさで真っ赤になった顔を隠したくても、さっきからずっと掴まれたままの腕は、加えてもう片方も同様に封じられてしまって、身動きも取れない。



「あれ?甘くなかった?……そっか」


怪しい色を更に纏わせ、風斗くんは舌舐めずりをして、唇を濡らす。



「深さも長さも足りなくて甘さを感じられなかったんだね…ゴメンね姉さん」


近い位置から舌を伸ばし、わたしの唇をペロッと舐めあげる。



「もっと、もっと…味あわせてあげるよ……甘い、僕を…ね」


そしてその言葉通り、わたしの味覚を感じる部分には、徹底的に風斗くん自身の甘さが与え続けられることになった――。



もう、甘いものが欲しい、なんて


――言わなくはない、です、けど、(照)。




足りなかったのは、甘いもの?



――それとも――?




〜終わり〜


ブラコン拍手3つ目★

拍手有難うございます♪



風斗、大好きなのに難しい。
俺様ツンツンS系年下って…

ツンと、エロ甘い部分との比率がホントに難しいです。


ちなみに観ていたDVDはすぐにお分かりの通り『チャーリーとチョコレート工場』です。
別にバレンタイン間近だからコレだった訳ではなく、ただ単にお菓子(甘いもの)が出る映画で、かつ風斗の好きな俳優って中で浮かんだのがコレだっただけです。
バレンタインならもうひとつありますもんね。


拍手有難うございましたm(__)m

2014/02/04



〜拍手移動後の後書き〜


拍手公開時にタイトルをつけ忘れていたので、設定しました。

『とっても甘いものは、わたしの弟…?、それとも…?』

なニュアンスで受け取っていただけたら。


風斗は策士であり、エロくて、しかもどこか幼い独占欲の激しい子供であって欲しいと思います。

拍手移動にあたり、風斗の台詞を微妙に修正しました。


この小話とSSにデップ主演タイトルが出てきますが、私は別にデップがめちゃくちゃ好きな訳ではありません。


私、基本的に日本人顔が好き(笑)。

お読み頂き、有難うございましたm(__)m


2014/02/15
藤堂市松 拝

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