過去拍手『薄桜鬼』

□副長室の秘め事
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「いいか…ちぃとばかし痛えかもしれねぇが…」
「つっ…!」



〜副長室の秘め事〜


こちら新選組屯所。
鬼の副長こと土方歳三殿の自室前でございます。
閉められた障子の向こうからは、この部屋の主と、預かりとして身を置いている少女・雪村千鶴嬢の声がいたします。


…その室内では、なにやら、怪しげな会話が繰り広げられております…。

「いたっ!痛いっ!土方さんやめて下さいっ!」
「だから痛えっつうただろう!我慢しやがれ!」

ただならぬご様子です。

そこに隊士の一人、藤堂平助殿がやって参りました。
土方殿に御用があるようです。

しかし、副長室の少しばかり手前の廊下にて、聞こえた少女の痛々しい悲鳴と副長の荒々しい怒声に、彼は足を止めました。

「千鶴…?」

その間も彼女の悲痛な叫びは続いています。

「やっ…痛っ…痛いです…っ」
「黙ってろ…すぐに気持ち良くなるから…!」
「うっ、駄目…くうっ!」

その声を立ちすくんで聞いていらっしゃる藤堂殿。
お顔の色が見る見るうちに青くなっています。
彼の脳内に、この様な惨状が浮かび上がっていました。

『嫌っ!止めて下さい土方さんっ!』
『嫌とか言ってる割にはよ…随分と濡れてるじゃねぇか…』
『あっ!やっ…そこはっ…!!』
『下は正直だぜ?…上も素直になったらどうだ?んっ…!』
『んんっ!…ふっ…やっ…むぅっ…!!』
『はぁ…感じ易いな…これならさほど痛みは感じねぇだろ』
『ひ…じかた、さ…』
『挿れるぜ』


「………はっ!」
妄想、いえ想像という名前の己の脳内から帰還された様です。
何故か焦って御自身の下半身を御覧になられました。何故でしょう?

「…って!んな場合じゃねぇっての!千鶴が!」
その間にも千鶴嬢の苦しげな呻き声は絶えず室内から響いてきています。
「千鶴!今助けに…!」
そうして副長室へと踏み出そうとした藤堂殿の足を、室内から発せられた会話がその場に繋ぎ止めてしまいました。

「うるせぇなぁ、元はといやぁ、お前から声かけてきたんだろうが」
「…それは…そうなんですけど…」


(チヅルカラコエヲカケタ…?)

その会話の意味とは、すなわち…

「…合意…?」

藤堂殿のお顔はすでに、真っ青を通り越して真っ白でした。
その時、あまりの衝撃で固まる藤堂殿の背後に、気配無く近付く一体の人影がございました。

「なにしてんのさ平助?」
「っっっっっっっ!!!」

いきなり肩を叩かれ、藤堂殿は声にならない叫びを上げたようです。
声になってないので叫びと言えるのかは分かりませんが。

現れたのは、一番隊組長の沖田総司殿。

沖田殿はその藤堂殿のご様子と、今も尚副長室より聞こえる千鶴嬢の呻きで、瞬時に現状を理解されたようです。
常にたたえている薄い笑みが、そのお顔から消え去りました。

「平助…これ陵辱真っ最中?」
そうお尋ねになりましたが、藤堂殿は泣きそうな表情で頭をぶんぶんと数回左右に振りました。
「ちが…誘ったの、千鶴からだって…聞こえた…」
ぴくと沖田殿のこめかみが震え、整った端正な眉がしかめられ歪みました。
「千鶴ちゃんから?」
今度は縦に数回、藤堂殿は頷きを返しました。

そして沖田殿はキッと副長室の閉じられた障子を睨みつけると、そこに向かって足を進めました。
「おっおい総司っ!」
「勝手に事を進められちゃ困るんだよね。土方さん…千鶴ちゃんにもお仕置きしないとね…」
沖田殿の背中から今まで感じた事もない程の凄まじい殺気が放たれました。

(これは…血を見る…!)
そう思われた藤堂殿は焦ってその背を追いました。


「やっ!痛い痛ーいっ!」
「我慢しろっつうてんだろが!」
「土方さん!千鶴ちゃん!!」
怒気をさらけ出したまま、勢いよく障子を開け放たれた沖田殿。
その背後から藤堂殿。
その御二方の眼前に照らし出された光景は……!


「嫌〜もう勘弁して下さいよ土方さ〜ん」
「うるさい!折角人が親切に教えてやってんのに、何だその言い草は?」
「だからって!そんなに力入れたら肩が壊れます!骨が砕けます!」
「これ位力入れねぇと効かねぇんだよ!」


座した千鶴嬢。
その背面に、膝立ちの土方殿。
土方殿は千鶴嬢の肩に手を置き、何やら力を込めていらっしゃいます。


そして、障子を開けた御二方に気付かれた土方殿が、藤堂殿に声をかけられました。

「おぅ平助。済まねえが、ちぃと俺の肩揉んでくれねえか?」
「…………肩?」
「おぅ、肩」
「……………………肩?」
「そう言ってんだろ、肩だよ」

鳩が豆鉄砲とはまさにこんなお顔を指すのでしょう。
藤堂殿は呆けたままでございます。

「土方さん、聞いていいですか?」
黙っていらした沖田殿が声をかけました。
「おぅ何だ?」
「なにやってたんです?」
その問いに、土方殿は怪訝そうな表情で、
「見りゃ分かんだろうが」
そしてもう一度、千鶴嬢の肩に置いた手に力を込めて、

「いっっったーーっっ!!!!」
「“肩揉み”だよ」

そうお答えになられました。

「“肩揉み”…?」

訝しげな御二方の視線を受けて、土方殿が下さったご説明はこうでした。

事務仕事をなさっていらした土方殿のお部屋に、千鶴嬢がお茶を運んでこられた時のこと。
土方殿は一旦筆を休めると、御自分の肩を拳でとんとんと叩きました。
それを見た千鶴嬢が、凝っているなら自分が揉みましょうか、と声をかけられたそうです。
なら、と頼まれた土方殿でしたが、千鶴嬢の握力は非常にか細く、とても揉まれてる感覚がなかったそうで。
そこで「“肩揉み”ってのは、こん位力入れるんだよ!」と、土方殿が実地にて御教授あそばした、というのがことの次第でございました。

「ったく。余計に肩が凝っちまったぜ」
「…すみません」

うなだれる千鶴嬢に、「お前は茶ぁ淹れてろ。それは巧いんだからよ」と彼女の気持ちを考えて補う辺りは流石は土方殿です。


「あ、そう…肩…“肩揉み”ね、はは…」
藤堂殿は脱力し、へなへなとその場に崩れ落ちました。
「おい平助!」
肩を揉んでもらおうとしていた土方殿が、そんな藤堂殿のご様子を不思議に思われ、声をかけられましたが、藤堂殿は、
「はは、は、良かったっつーか良くないっつーか、いや良いんだけどよ…」
御一人でブツブツと何やら呟き続けていらっしゃいます。

「…平助?」
「土方さん、肩なら僕が揉みますよ」
いつもの薄い笑みも復活した沖田殿が進言されました。
「総司が?…気味悪ぃな。何かあんじゃねぇのか?」

その問いに、思いきり全開の冷えた笑いを貼り付けて。

沖田殿はこう申されました。


「何もありませんよ。…この部屋で何もなかったから…何もね」


その笑顔に、鬼の副長殿も向けていた背を庇う様に、膝を擦らせて後ずさりなされました、とさ。

「うぅっ、明日絶対揉み返しくるよぅ…」


〜終〜


ありがちなネタですみません!
敬語丁寧語謙譲語がおかしいのはご勘弁!
あとエロっつーより下ネタなのもご勘弁!
平助がいつもこんな立ち位置なのもご勘弁!


長いの強引に1Pにしちゃったい!

ありがとうございました!


2008/10/21 藤堂市松


2014/01/27
超お久しぶりですf(^_^;)
6年も放置してたサイトを救済しにきました。
(付き合ってた彼氏と別れて2次元に戻ってきただけ)
過去拍手作等整理して新しいジャンルを増やしていきたいと思っています。

でもきっと中身は下ネタとエロとギャグです(笑)

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