過去拍手『薄桜鬼』

□「二人でやろうよ。」
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「ねぇ千鶴ちゃん、やろうよ」
「やりません」
「なんで?絶対楽しいよ?千鶴ちゃんにも良い気分になってもらいたいんだけどな僕」
「なんと言われても、やりませんったらやりませんっ!」


『二人でやろうよ』


ある日の昼下がり。
庭の掃き掃除をする千鶴に、しきりに総司が声をかけている。

「ねぇ本当にやらない?」
「やりません!」
「この間は二人ともあんなに盛り上がったじゃない」
「あれはっ…あの時は確かに気持ち良かったですけど!でも今日はやりません!」
何やら恥ずかしげに顔を赤く染め、けれどきっぱりと千鶴は誘いを断る。
「今日はもっと凄い事する予定なんだけど?」
「………」
押し黙る千鶴。
「ねぇ、千鶴ちゃん。やろうよ」
「………駄目。やっぱり駄目です!だって!だって、あの後、ずっと痛くてたまらなかったんですから!」


ガシャーーンっ!


千鶴がそう叫んだ途端、建物側から派手な音が響いた。


見れば、廊下に鞘ごと刀を落としたまま、青ざめた顔色で、瞬きを忘れたかの様に目を見開いた平助が呆然と突っ立っていた。

「あれ平助」
「平助君どうしたの?刀を落とすなんて…」

庭の二人はそんな平助に、あくまで普通に問い掛ける。

「ち…」
「ち?」
平助が発した一文字を千鶴が繰り返す。

「ち…千鶴が…」
「私が?」


「千鶴が汚されたーーーっっっ!!!!」


そう叫ぶと、刀を拾い上げ、うえーん!と泣き叫びながら走り去っていってしまった…。


「け、汚された??どういう意味でしょう?」
疑問符を浮かべる千鶴に、何やら怪しい笑みをたたえながら総司は簡潔に答える。
「さぁね…でさ、本当にやらないの?」

再度確認する為に千鶴の顔を覗き込むと、こう続けた。


「鬼ごっこ♪」


「…やりません」
「えー、子供たち神社で待ってるんだよ?」
と表面上拗ねた様子をする。
「この間は千鶴ちゃんが見事に残って勝ったじゃない。楽しかったでしょ?」
だからやろうよ、という総司をじとっと睨むと、
「だってあの後筋肉痛で大変だったんですよ!それにそもそも考えてみれば、私が沖田さんから逃げ切れる筈なくて…つまりわざと逃がしてたんですよね!?」
一気にまくし立てる。

そんな千鶴に、にっこりと不自然な程の笑顔を向けると、

「うん、そう。だって逃げる千鶴ちゃんを追い詰めるのが楽しかったから」

その回答に千鶴は、はぁ〜と深い溜め息をついて肩の力を落とす。

「だから今日も君で…君と遊びたいな」
「今、『君で遊ぶ』って言いませんでした?」
「空耳だよ」

ぴくっとこめかみを震わせると、絶対にやりませんから!と言い放って、千鶴は総司に背を向けて掃除を続けだした。


「残念。鬼ごっこが嫌なら、平助が誤解した様な事でもいいんだけど…」

その千鶴の後ろ姿にぼそっと呟くと、彼女の肩に手を伸ばした。


「むしろ、そっちの方が楽しそうだね♪」



〜終〜


拍手ありがとうございました!
総司×千鶴でした♪
総司にはとことんSでいていただきたい(笑)。

2008/10/15 藤堂市松


◇追記◇
お久しぶりです。
あまりにも久しぶりすぎ…。
まずは拍手作を新しくするところから始めようかと。

それにしても、自分はよっちん大好きなんですが、なんでこうも平助の扱いが悪いのか…。

いずれ救済せねば。

2014/01/27
藤堂市松 拝

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