BROTHERS CONFLICT
□Fan Call
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『fortte』コンサートツアー最終日。
15,000人程入る会場は満員のファンに埋め尽くされていた。
「なぁ風斗。確か今日もお姉さんを呼んだって言ってたよな」
リーダーの赤星が楽屋で風斗に尋ねる。
「呼んだけど…それがどうかした？」
相変わらずメンバーに対しては素っ気ない口調で風斗が返す。
「いや、そっか、楽屋には来るのか？」
「は？」
「エイチってば。まぁ確かに前に来てた風斗のお姉さん、可愛かったもんね」
「朝倉くんと違って素直そうだったし」
「そうだな。ライヴ慣れしてないのか、キョドキョドしてたのも初々しかったしな」
メンバーがそれぞれ勝手な感想を述べる。
「…今日は、遠いから遅くならないうちに帰せって、兄貴たちから言われてんの。だから楽屋には来ないよ」
なんだー、残念、と各々が口にする。
(…誰が二度と会わせるかっつーの！こんなんだから、わざわざ絵麻に僕のウチワを持たせる羽目になるんじゃないか！)
そう、絵麻に半ば強引に持たせた自身のウチワは、手にする人の意中の相手を示すもの。
彼女に近づく男を牽制する為のアイテムだった。
(ステージからあの姿を見て、誰のものだか理解してよね！)
きっとあのウチワは、飛び回る虫を叩き落とす役目を果たしてくれる筈。
「メンバー！スタンバイお願いしまーす!!」
スタッフから声がかかり、気合い入れをして楽屋からステージ裏へと向かう。
きっとステージ前には、自身のウチワを持ち、キラキラした瞳で見つめてくる愛しい彼女が待っている。
風斗はいつになく興奮しつつ、ステージ裏でイヤモニをはめ込んだ。
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