BROTHERS CONFLICT
□開け放たれる、獣の檻
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「で?なに?」
「え、えっと、あのね…」
絵麻は、頬を微かに赤らめながら、目を泳がせている。
チラチラとモニターに横目で視線を送っている様子を見る限り、映像で何か気付く事があったのは、間違いないらしい。
風斗はモニター画面に目を戻す。
「…ん?」
自分でも初めてチェックする映像。
一瞬の違和感を感じて、リモコンに手を伸ばす。
「あっ!」
絵麻がそれを止めようと手を出すが、それより先に取り上げ、巻き戻しボタンを押す。
「あ、あのね、風斗くんっ、そのっ」
逆回しされていく自分のパフォーマンス。
腿から上ぐらいのアングルの正面カメラの映像になった所で、風斗は一時停止ボタンを押した。
「あー…開いてたか」
風斗はそこでライヴ時に犯していたミスに気付く。
「姉さんも気付いたんでしょ、こーれ」
指を差して、絵麻にも観るように促す。
「う…うん…」
赤い頬のまま、恥ずかしそうに俯く絵麻。
風斗が指し示すモニターに映る衣装姿の彼自身。
その白いパンツのファスナーが開いており、隙間から黒いインナーがチラッと覗いていた。
「ふ、風斗くん…平気なの…?」
気付いてしまった以上、直視は出来ない絵麻がボソボソと尋ねるが、風斗はあっけらかんとしていた。
「別に。早替えでの閉め忘れなんて結構ザラだし?気にしてたらこの仕事やってらんないから」
んー、でもこのモロバレなアングルは編集でカットしてもらおー、とブツブツ呟きながら一時停止を解除して続きを見始める風斗に、絵麻は突如身を乗り出して問い詰める。
「き、気にしないの?風斗くんは気にならない人!?」
「まーね。だから気にしてたらやってらんないって…」
「だったらっ!あ、あのっ!」
そう言って、絵麻は赤い顔のまま、風斗に向かって指を差す。