BROTHERS CONFLICT
□Confusion Rush×2 Birthday
1ページ/5ページ
初めての誕生日。
生まれてから、じゃねぇぞ。
アイツと付き合い始めてからの、初めての俺の誕生日だ。
誕生日って言やぁ、そりゃプレゼントだよな。
俺さ、3月31日なんて見事に年度の合間に生まれたせいか、ダチに誕生日祝ってもらうことなんかなかったんだ。
家族から祝ってもらうのは、ガキん頃はあったけどよ…。
なんせ、あの兄貴たちだぜ?
マトモな日だった記憶はほとんどない。
だからさ、いわゆる『カノジョ』になったアイツから聞かれたことに対して、どう答えりゃ適切だったのかなんて、分かりゃしねぇんだ。
「侑介くん、お誕生日プレゼント、何が欲しい?」
その言葉に、リボンをかけたアイツの姿を思い描いた俺は、多分、いや絶対健全な男子だと思う。
…けどよ、
「オッ、オメエな…っ!こんなところでンなこと聞くんじゃねぇよ!」
「え?そうなの?」
「そうなの、って…!?」
「妹ちゃん、ゆーちゃんはね、二人っきりのときに言って欲しいんだよ」
…ほら、来た。
まずはかな兄。次いで…
「『そんなのオマエに決まってるだろ、絵麻』『…やだ、侑介くんったら』って展開求めちゃったりー?侑介ってばサカり過ぎー★」
つば兄…厄介なのが…。
「椿さん!要さんも!わたし、そう言うのじゃなくて…っ!」
…ほらな。
そう言うんじゃないのは分かってたからよ。
俺の妄想だって分かってたからよ。
…追い討ちでダメージ喰らうだけだから、やめて欲しかったんだよ、兄貴たちのいるところでは…。
「え、なにその照れ方。もしかして姉さんとバカってまだなの!?付き合って何ヵ月経ってると思ってるの?うわ、あり得ないでしょ?」
…訂正。
弟のいるところでもやめて欲しかったぜ…。
「あぁもう!俺らのことに構うんじゃねぇよ!オラ、来い!」
「あっ、ちょっと待ってよ侑介くんっ!」
絵麻の腕をひっ掴んでリビングを出る。
ここで、照れと恥ずかしさに負けて、俺は絵麻を連れて自分の部屋に向かったワケだが…。
基本的に、俺も絵麻も、自分のキョーダイたちを甘く見すぎていた。
もうちょっと何とかしてりゃ、その後のバタバタは防げたかもしんねーのに…。
…って言っても、全部後の祭りなんだけどよ…。
.