TOS(+ラタトスク)
□プラトニック・ハート
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「ロイド…」
その言葉にぴくりと反応した茶髪の男、ロイドははたと親友、ジーニアスの方を伺い見る。
「ジーニアス?」
「………」
返答はなく、ただ沈黙が流れる。
(寝言…か?)
どんな夢を見ているのか気になったが、すやすやと眠るジーニアスにおもわず顔がほころぶ。
ジーニアスの傍らに近づき、じっとみつめる。
長い静寂の後、ぽつりと呟く。
「ジーニアス、好きだ…」
…言い終えてからはぁ、とため息がでる。
「本人が寝てる時にしか言えないなんてな…」
情けない、と同時にやるせない気持がうずく。
ロイドはじっとみつめた後、ジーニアスに顔を近づけ、額に軽くキスを落とした。
(好きだから…やっぱり伝えられない…)
この、ジーニアスが一番信頼してくれる、『親友』というステータスを崩してしまうのは、とてつもない恐怖が付いて回るのだ。
ロイドはジーニアスの髪をなでながら、自分のやりばのない気持ちに不安をただ募らせる。
「ジーニアス、好きだ…っ」
呟きながら、気付くと涙を流していた。
この気持ちが晴れるのはいつなのだろうか。いや、晴れる事はあるのだろうか…
それはまた、先の話…
END