TOS(+ラタトスク)
□ソバデ
1ページ/3ページ
普段なら星の瞬く闇のウ゛ェールも、灰の色にそまっている空。その灰の夜空からは、結晶たちが降りそそぎ、あたりを舞っている。
そして一面の白が広がっている、それがまた空を少しだけ明るくさせていた。
一人、聖なる女神を奉った教会の前、開けた台地にたたずんでいる。
目の前には結晶の群れが、白い大地に向かってゆっくりとおりてゆく。
すっかり町並みの灯は息を潜め、結晶達とぼやけた月だけがあたりを照らしている。
「…………」
ただずむは一人の少年。銀の髪が寒さに揺れる。
しかし少年はその場を去る事もなく、ただぼんやりと町並みを眺めていた。
「さすがに、それは寒いでしょーよ」
少年の背後から男が語りかける。少年は振り向き驚いた表情を浮かべる。
「ゼロス…」
少年は自らに語りかけた男の名をぽつりと呟いた。ゼロスは黙ったまま厚手のコートを脱ぐと、少年の肩にかけてやる。
「だめ。ゼロスが寒いでしょ」
少年はコートを取ろうと手をかけるが、ゼロスは彼の肩にてをかける。
「見てるこっちが寒いって。お前こそ、なんでそんな薄着でいるんだよ、ジーニアス」
「………じゃあ、半分こ、ね?」