永遠ノ人形
□8 すれ違い
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「そもそも何で海に言わなくちゃいけないの?海には関係ないじゃん・・」
「・・・・・・そう・・」
海がとても傷ついた顔をする。
海のこんなにも傷ついた顔を見たのは初めてだった。
そのまま海は席を立ち、教室を出て行く。
「・・・・・・何よ」
そう言ったものの、誰も海を引き止めなかった。
「優香は優しいんだね」
海が教室から出たあと、空が言う。
「え??」
「海に心配させたくないんでしょ??」
空が優香の考えていたことを当てた。
きっと、優香と海の心のすれ違いを見抜いていたのだ。
「そうだけど・・」
「でも、海に“関係ない”は言っちゃ駄目だよ」
「その言葉、海には言わない方がいい」
「如何して?」
優香は思ったことをそのまま空に言った。
空は溜息をつきながら、優香と目を合わさずに、上を見て言った。
「海は、もう自分の身近な人を亡くしたくないんだよ」
「どういうこと?」
「3年前まで、俺達には姉がいたんだけどな、ちょっとした事件に巻き込まれて死んだんだ」
「・・・・・・そうだったの・・・」
それでも、海には・・
「海は心配したいと言ってるんだから、そうさせてやれよ」
「・・・うん」
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