短編

□早押しクイズ
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私がラボでまったりしたいがために、クルルに頼んで置いて貰ったゆったりカウチ。
の、上に横たわるクルル。
お寝んねしてるみたい。
このカウチ、私のなんだけどなぁ。
でも勝手に使ってくれてるのも嬉しみがある。
そうっと顔を窺う。
眼鏡に「SLEEP」と書いてあるので、ちゃんと寝ているようだ。
珍しいな、クルルがこんな風に寝るなんて。
人前じゃパフォーマンスで寝て、ちゃんと寝るときは押し入れでって感じで、人目に触れるところでマジ寝とかしなさそうなもんだけど。
本当は起きてるんじゃないの?
私が転寝してるクルルにどういうリアクションするか観察してたりして?
と、なると、意表を突きたくなるな。
顔をじっくり眺めるのも良いけど、後でからかわれるのも癪だし…。
一緒に寝てもいいけど、クルルがカウチ占領してるから私床に寝転ぶ添い寝になるし、それは嫌だし…。
ふむ…どうしたもんかな…そっとしておくのももったいないし…。
じっとクルルの寝顔を見下ろす。
クルルは横向きに、セルフ腕枕をして寝ている。
彼の頭の両脇にあるヘッドフォンが天を向いてる状態だ。
こう見るとなんかな…クルルのソレって…クイズ番組とかに出てくる早押しボタンみたいに見える…。
「……」
好奇心に負けて、私は手を振りかざした。
「正解は!」
バシィ!(心の中で効果音:ピンポーン♪)
「――って…!」
「越後製菓!!」
クルルのヘッドフォンをどついて叫ぶ。
クルルは衝撃に驚愕し、痛みに呻いて目を覚ます。
私は思い付きを成し遂げてすっっっっきりし、正解した風にガッツポーズをした。コロンビア。
「…っに、やってくれてんだテメェ…!」
直後、ドスの利いた声で睨んでくるクルルとアイコンタクト。
やっべ。そういえば寝てるクルル殴っちゃった。
「え、ごめんごめんごめん、ついやりたくなって…」
「"ごめん"や"つい"で済むかよ、不条理に殴られてんだぞこっちは…!」
眉間の影を色濃くしてクルルはのっそぉ…と起き上がり私を睨みつけている。
「ひぃ〜キレないでよー!悪かったよー!」
「にこにこにっこりなんか出来るかよ…!」
「意外と知ってるぅ〜!」
べしべしとクルルは私のおでこにヘドバンをかましてくる。
クルルを怒らせてはいけない、特に思い付きで彼をからかう時はよく考えたほうがいい、と痛みに涙を堪えて教訓を得た。

END.
202110/ツイネタやろう企画

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