短編
□零が奇麗と思う物
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今回の任務は、某惑星で追われている宇宙生物を保護することだった。
珍種であるのか、乱獲が絶えず、ついには星さえ存命が難しいらしい。
宇宙生物は人語を解するらしく、各自探し発見次第連絡をする、作戦。
茂る木々が俺をずぶずぶと本能へ引きずりこんでいく。
濃い空気が生身と鉄に纏わりつくのが、厭に快い。
誰も、誰でさえ、この俺を認識しまい。
悪気ない鳥や虫といった生物でさえ。
邪気ない草や木にいたる植物でさえ。
知らぬ間に斬り死んで、初めて俺をみとめる。
活目しろ。
俺の名は――――。
「誰だてめぇーーーーーーー!!!!」
後ろより声が…というより、叫び声が聞こえ、無意識に目をそちらに向ける。
何だ。
誰だ。
ある樹の一つに足をかけ、逆さになって声の正体を捜す。
草、木、鳥、虫が死んでいて、俺が走り抜けた道なき道がよく見えた。
そして、驚いたことにその道の上にやたら図体の大きい怪物が重そうに座り込んでいた。
「…!?」
あれが、今回の任務の獲物か。
ほぼ勘だが、俺はそう認識した。