御題

□我輩にもやらせて!
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遠い昔のこと、私はケロロ、ギロロ、ゼロロ、プルルと(ついでに言うと556も)幼馴染だった。
よく遊んだのはあの空き地に作った秘密基地で、女友達のプルルとはままごとでよく一緒に居た。
子供のころから母性あふれるプルルが大抵お母さん役で、私は大概、お嬢さん。
それなりに楽しくて、家では味わえない遊びによく夢中になってやったものだ。
そして、そんな時偶に現れたケロロは当たり前のようにこう言ってくる。
「我輩にもやらせて!」
なんとなく、女同士の遊びだと思っていたから違和感があったけど、プルルは大して気にしてないようだった。
近所の男の子役で遊びに参加してきたケロロは、今思えば少し、ほんの少し、可愛かった。

「我輩にもやらせて!」
子供のころと同じようにその台詞を言ったケロロは私の背に飛び乗ってきた。
遠慮ないその攻撃に受け止める準備すらしてなかった私は悲鳴を上げて潰れる。
ゲーム機まで潰れないように手を伸ばすのが精一杯だった。
「なに、なんなの、ケロロ」
呆れながら、ケロロが乗っかったままなのを確認しつつ、ポーズ画面にするのを忘れない。
後頭部でケロロが頬擦りしてくるので、ぞわぞわと肌が粟立った。
「だーから、それ我輩にもやらせてぇんって言ってるんであります」
「だったら乗っかるのをやめてって」
「やらせてくれなきゃ潰すぞっていう脅し」
「まじすか」
先月ケロン軍よりケロロ小隊へ私は派遣されてきた。
一緒に働けるといのが、なんともうれしい。
決別して成長していくのは、地球人もケロン人も同じだから軍に入った時もう昔のように一緒に居れないと思っていた。
ともかくまた一緒に居られるのは嬉しいし、それが職場となればまた新鮮…なのだが。
流石《F》級侵略部隊…何故成果を挙げられないのかが分かる…。
体たらくぶりは、ギロロがため息を付くのも無理はない。
一ヶ月経って情けないことに私も地球での暮らしに順応してしまい、暢気に携帯ゲーム機で遊ぶまでに。
地球人が宇宙人を信じてる時点で侵略しているようなものだから…なんて言い訳か。
「やっとワールド4まで行ったのにぃ…」
「やってみたいんでありますよぉ、我輩初っ端から死にまくったからレベル高いところとか」
軍に居たころはまたケロロとこんなのどかな会話が出来るとは思っていなかった。
戦場で会えると思ったら…捕虜の身だし…(いやここも戦場なのか?)。
ケロロのゲーム主張に同感できるものがあり、仕方なく私はゲーム機をケロロに渡した。
「ヤフー☆へぇアイテム溜まってんなぁ…うおっ何これ見たことない!ソーマってなに!?使っていい!?」
「駄目っそれ貴重アイテムなんだから!つか降りろよ!」
ケロロはゲーム機を受け取っても私の上から降りようとしない。
「だってこれなら一緒に見れるでありましょう?」
ケロロは私の上から圧し掛かりつつ、ゲームを私の目の前に掲げた。
頭にケロロの顎があってさっきより痛い。
でも加減はしてくれてるようで然程苦しい重さではなかった。
「見てるだけなんてなんか、非生産的…」
「ヒント君だと思って!じゃないと貴重アイテムつかったり、コンテニュー不可ゲームオーバーしたり…」
「ああ分かったって!居ればいいんでしょ、ここに!」
「分かってくれて何よりであります」
にこにこと機嫌の良さそうなケロロ。
昔から、こういう可愛い笑顔は変わっていない。


「なに二人でいちゃいちゃしてんだゴラァァァァ!!」
「は?いちゃいちゃなんて…なに頬染めてんのよケロロ」
「タママ二等、違うであります、これはらぶらぶしてんの」
「ムキィィィィ!!!!!」
「なんであえて火に油ぶっ掛けてんの!?」
「あー!ゲームオーバったァァアア!」
「お願いだからこっちから収拾つけて!」






end.
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多分ケロロはアクション・レーシングゲームで体が動いちゃうクチ。

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