短編

□結婚しよう
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※11月22日(良い夫婦の日)記念夢。



恋焦がれた人は宇宙人。

しかも向こうの星のエリート軍人でとても忙しいらしい。

彼、ガルルとは、ケロロ達と地球で共闘しているときに出会った。

ガルルはそのとき見た私のことを気に入ってくれたみたいで、よく話しかけてくれた。


その後、彼等にしか支給されていないという地球人のスーツを着たガルルを見た。

イメージどおり、理想像である彼を見て、私はどうにかこの人と一緒になりたいと思うようになった。

向こうは宇宙人だから、叶わない夢かと思っていた、けど。



「結婚しよう」



ガルルはこともなげに、そう告白してくれた。

結婚。

ガルルのことは好きだけど、そんなことを考えてもみなかった私は呆然とする。

結婚、というのは、どうやって?

ガルルと私は異星人なのに、どうやって、夫婦の確約が結べるというのだろう?

私の不思議を感じ取ったか、ガルルがくすくす笑った。



「不思議か?宇宙法と軍法が改定されたから、地球では無理でも宇宙で籍が入れられることになった」

「はぁ…そうなの」

「感動が薄いな。わかってはいたが」



地球人のスーツに忍ばせた箱を取り出して、ガルルはにこりと笑う。

箱は半分にあけられることができるようになっていて、中からガルルはある物を摘み、掲げた。

光を反射して輝く、銀色のリングだった。



「婚約指輪だ。貰ってくれるかな」



結婚を約束する、指輪。

ガルルの私が好きであるという気持ちを、ようやく実感して、私は照れて頷いた。

ガルルは私の左手を取って、なでるように指をさすった後、薬指にリングをはめた。

きらりと光った色彩と、指にある適度な締め付けに、私は声もなく感動した。



「ああ、これで…君と私はひとつだ」



ガルルはうっとりと私の指を見て、その手に頬ずりをして、キスを落とした。

くすぐったさに身を捩ると、ぐっとガルルは私を引き寄せる。



「私は、世界一幸せものだ。この恩返しがしたい。これから君に尽くすと誓おう」



ガルルは私の足元にかしずいた。

申し訳なくなって私はすぐにしゃがんでガルルの手をとる。

まっすぐなガルルの目線を真っ向から見ることになって、脳内が熱で染まっていくようだった。



「じゃあ、ずっと…ずっと一緒に居てください」

「…そんな可愛いことを言うのはこの口か?」



ガルルは少し驚いたような顔をしてから、私を抱きとめキスをしてきた。



「約束をしよう」



私達未来の、幸せな夫婦生活のために。

夢のような言葉に、私は頷くだけで精一杯だった。







END.

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