Short story
□SAKURA〜桜〜
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その急な出来事に漸く自覚して躯を強張らせる。
「チョット!!何してんスかッ!!///」
寄せ付ける力が更に強くなっていき、その苦しさから逃れ様とこちらも抵抗の力を強める。
「いい加減にッ!!///」
「少しで良い…もう暫くこうさせてくれ…」
らしくない言葉を耳元で囁かれ、抵抗する動きも思考と同様に止まった。
「何らしくナイこと言ってんスか?」
「煩せぇ…」
深く抱きしめられている為、顔色を伺う事は出来ないが、多分誰も見た事が無い顔をしているんだろうと思いこんな状況なのに笑みが浮かぶ。
「もしかして、泣いてるのって跡部サン?」
「ぁあ?泣いてねぇよ」
笑いを含んだ声で尋ねれば、何時もよりトーンが下がった声が不機嫌そうに返って来る。
「ねぇ跡部サン…」
「何だ?」
「春ってさ…始まりの季節で歓喜に溢れてる季節っスよね」
返事が返って来ないのは、彼がそう思っていないのか、それとも先を促しているのか…
「でも、そんな季節に寂しいとか悲しいって思ってたらオカシイっスかね?」
何処か自嘲する様に呟かれた言葉に、自分でも弱さを感じて顔を顰る。
「…別におかしくねぇんじゃねぇか…」
慰めるとは違う、自分自身にも言い聞かせているかの様な跡部の口調に、安堵を感じた。
「そう思いマス?」
「あぁ…」
静かに聞こえた返事に嬉しさが込み上がり、また頭上を見上げた。
2人を包み込む風が何時もより穏やかに感じる。
彼の肩越しに見る花弁は雪の様にちらちらと降り注ぐ。
さっき1人で見ていた桜がより鮮やかに見えている気がして…
「跡部サン、サクラってキレイっスよね…」
「あぁ…綺麗だな」
彼も自分の肩越しに見てくれているだろうと思いながら、時が止まったかの様にその場に佇む。
部活に遅れるな…なんて悠長に思いながら…
End..................
取り敢えず、甘いシリアスを目指しました。
因みに、景吾とリョマはまだ付き合ってはおりません。
なのに何で此処までラブAしているんだろう…‥
元々、シリアスを書くのは好きなんですが、今回は何が言いたいのかよく判らないものに…
普通春だけでここまで考え込まないですよね。
中学生の時、こんな事思ってもいませんでしたから。
一応、フリー配布させて頂きます。こんな駄文いらないと思いますが、貰って戴けたら嬉しいです。
報告は任意ですので。
2008.3.13.