Short story
□Your eyes.
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「早くケーゴ来ないかなぁ…」
目を伏せて呟いたリョーマの横で、ジローが眠そうな目を細めて笑んだ。
「会いたいの?えっちゃんカワE〜♪」
「ちがッ///ただ早くココから出たいだけッ!!忍足サン、しつこいんスもん///」
「えっちゃん顔真っ赤だよ〜♪」
肘を着いてからかいだすジローにグッと唇を噛む。
「しつこいってコトないやろ;リョーマは跡部の何処に惚れたん?」
あんな俺様傲慢男の何処が良いねん、と言う忍足に、リョーマは眉を寄せた。
「ドコって言われても…気付いたらスキになってた…」
自分でも納得出来なかったのか、首を傾げるリョーマに忍足は不満そうな顔をする。
「俺だって判んないんスょ…ケーゴだからスキになった。そうとしか言えない…」
そう言いながらリョーマの表情が穏やかになるのは、きっとあのヒトの事を思っているから…
「あ〜ぁ…リョーマから惚気聞くなんてな〜。俺の入る余地ないやん…」
「そんなのとっくにナイよ」
リョーマは落ち込んだ様に拗ねる忍足に、クスクスと声を出しながら笑う。
そんな顔を見て、苦しくなるけれど決して嫌な苦しみではなかった。
好きな奴が幸せでいてくれんのが、1番えぇ…
「その幸せにすんのが跡部っちゅ〜のが腑に落んけどな」
「何が腑に落ちねぇって?あーん?」
「ぁ、ケーゴ遅いよ!」
忍足は驚いて後ろを振り返り、その隣では缶に口を付けながらリョーマが不満そうに声をあげた。
「しょうがねぇだろ、俺様だって暇じゃねぇんだからよ」
そう言って跡部は眉を寄せて顔を顰るが、その手は優しくリョーマの髪を梳いた。
「ねぇ、もう終わったの?」
「あぁ…」
「じゃぁ、帰ろ?」
小首を傾げて見上げてくるリョーマに、跡部は口角を上げた。それを見て慌てた様子を見せる人物が1人…
「ちょぃ待ち!跡部、部活…」
「忍足、後はテメェに任せた」
「んな阿保なっ!!またかいな!!!」
ツッコミを入れる忍足に、跡部は軽く舌打ちをしてリョーマの肩に腕を回すと、自分の背後に立っていた樺地から自分の荷物を受け取る。
「じゃあな…」
我が道を行く帝王は、何事も無いかの様に部室を出て行こうとする。
「忍足サン、また来ますね」
振り向き様に言うリョーマの顔には、何時もの生意気な笑みがあった。
それを見て、忍足は苦笑する。
独占欲が強い跡部は、そんな2人を怪訝そうに見るが、何も言わずリョーマと共に部室から出て行った。
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