Short story

□Your eyes.
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こんなにも好きなのに…


俺が君の瞳に映るコトはない…







「ケーゴいる?」

ノックも無しに突然部室の扉が開き、それと略同時に聞こえた間延びした声に、全員の視線が注がれる。

そこに立っていたのは、明らかに他校である事が判る学ラン姿の少年。


「何やリョーマ、また跡部に会いに来たんか?」

「またって…」

「たまには侑士に会いに来たとか…

「えっちゃん…跡部ならもうすぐ来るょ〜。此処で待ってな?」

…ジロー、話遮るなや」

拗ねた顔をする忍足の横を何事も無かったかの様にリョーマが通り過ぎて行く。


「ホンマ連れないやっちゃなぁ〜」

「実らねぇ恋なんだから諦めろって侑士!!」

「煩いわ、岳人」

ギャーギャーと騒ぎ出した2人を呆れた様に見る。


「越前君、何か飲みますか?」

気を利かせた鳳が懐こい笑みを向けた。

「ファンタある?」

勿論とニッコリする鳳の手には既に紫色の缶が握られていた。
余りにも多く訪れる為、常にファンタがある様に跡部がストックして置いたモノだ。

それを受け取ると、タブに指を掛ける。


「リョーマ、俺が開けたろか?」

言い合いに一段落ついたのか、近寄って来た忍足が手を差し出す。

「チョット…子供扱いしないでくれる?」

ムスッと頬を膨らませるリョーマに、忍足が苦笑する。

「子供扱いなんてせぇへんよ。まぁ強いて言ぅなら…」

言葉を切ってリョーマの手からファンタを取ると、プシュと音を立てて開けた。

「姫さん扱いやなvV」

口元を吊り上げて差し出された缶を、リョーマは顔を顰て見た。


「忍足…姫さんとか激ダサだぜ…っつ〜か、キモイ」

背後からボソッと宍戸に言われ、忍足は眉間に皺を寄せた。
大声で言われるより、小声で言われる方が、何倍も痛い。

リョーマはダメージを受けている忍足の手から乱暴に缶を取ると、嫌そうな顔をして口を付けた。






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