Short story

□Would like
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広い部屋で一人…
この部屋の主人は一体何時になったら帰って来るのか…

明かりも付けずに、リョーマはそんな事を思いながら無断にでかいソファーに寝転がって高い天井を見上げた。
チラリと傍の机に置かれた携帯を見れば、既に7時を廻っていた。

どんだけ長いんだよ…と少し顔を顰る。
部活が終わり、疲れた身体を休めず此処まで来てやったのに、当の本人は未だ帰宅しない。
アポ無しで勝手に来たのは自分だが、ここまで遅いとさすがに気分が悪くなる。

ボーっと天井の一点を見詰めていると部活の疲れも有ってか次第に目頭が重くなり、その誘惑に勝てずゆっくりと眼を閉じた。



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「お帰りなさいませ、景吾様」

玄関を開くと同時に掛けられる声に、跡部は軽く答える。普段と変わりない台詞だが、使用人達の間には嬉々とした空気が漂っていた。
それを疑問に思いながら自室へ向かう。


「成る程…こう言う訳か…」

暗くなった部屋に明かりを点ければ、軽く身じろぐ姿が目に入った。
頻繁に訪れるせいか、跡部の知らない内に執事や他の使用人達と親しくなったらしく…
先程の使用人達の様子の意味が理解出来た。

跡部は静かに歩み寄り、その黒髪へと手を伸ばす。触り心地が良い艶のある髪を指に絡めれば、それを追う様に顔が緩く動いた。
強い光を灯す瞳は閉じられ、普段より幼く見える。その無邪気に眠る顔に愛しさが込み上げる。

彼は常に背伸びをしているから…


跡部は微かに顔に笑みを含ませてその場から離れ、着替え始めた。



「け、ご‥?」

不意に、聞き逃してしまいそうな程小さな声が耳に入り、跡部は釦を留める手を止め、ソファーへと顔を向けた。

「起きたのか?」

「…ウン‥」

目を擦りながらゆっくりと身体を起こす小さな姿を見て、最後の釦を留め終えるとソファーへ歩み寄る。

「おかえり…」

「あぁ…」

隣に腰を下ろし白い肌へ触れれば、リョーマは猫の様に擦り寄って来る。まだ覚め切れていない目が、潤みを帯びて妖艶に映る。

「何時から此処に居た?」

「ウ〜ン…3時間ぐらい経つカナ…」

「携帯に連絡すれば良かっただろ」

「だって、゙大事なお話チュー゙かもしれないじゃん」

機嫌が悪いらしく、ムスッと拗ねた様に見上げてくるリョーマに、跡部は苦笑を浮かべる。

「ねぇ…今何時か判ってる?」

「あぁ?8時過ぎだろ」

「…こんな時間までドコでナニやってたの?」

如何がわし気に睨み付けて来るリョーマに跡部は深く溜息を吐く。

「生徒会関係の事を片付けてたんだよ。お前から連絡が有ればすぐ帰ったのによ…」

フーンと、聞いたクセに興味が無さそうに返事を返すリョーマに、跡部は眉間に皺を寄せた。





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