詠の間

舞姫
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今宵 桜とともに 舞いませう
幻影(まやかし)のごとく 妖し香りて


誰にも気づかれぬよう 密かに
あなたのことをお慕いしてまいりました
"願わくば あなたの下で咲き誇る 名も無き花になりたい"
幾度となく思ったことでしょう


たとえこの想い あなたに届かぬとしても


今宵 あなたの下に舞い降りませう
夜桜のごとく 清らかに 艶やかに
闇に埋もれるわけじゃなく
月光(つきあかり)の中で 目覚めたい


いつも あなたは 何を見つめてらっしゃいますの
"叶うならば 漆黒の その瞳に射とめられたい"
いつも 切に願うものです


あなたとすれ違うたびに 疼くこの想い抱いて


いつか あなたの下で 咲き誇りませう
愛でられて 狂い咲き
満たされぬまま
ああ 散りゆくでしょうか


そして あなただけに 舞い踊りませう
魅せられて 愛されて
桜のごとく 美しく咲き乱れ散り


今宵 あなたの下に 舞い降りませう
夜桜のように 儚くて 刹那くて
散りゆくことすら 本望でしょうか


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