そこは、目の眩むような光の世界だった。
辺りを見回してもただただ真っ白な風景しかなく、まるで大きなキャンバス一面に純白な絵の具をぶちまけたようだ。
そんな風景に、少女――莉莉は不安を覚えた。
どこまで歩いても、見えるのは真っ白い景色。
いくら歩めどそれ以外何も見えてこない。
どれほど走っても、そこは純白のキャンバスの上。
主役は莉莉だけで、相手役(パートナー)など存在しない。
――ここはいったい……どこ?
ここは"光の世界"――白の世界。
しかし、莉莉がいつも身を寄せていた"白の世界"とはどこか違う。
何か異質なモノを孕んでいるようだった。
それに気がつけば、この違和感は解けるかもしれない。
莉莉はそう考えた。