短篇
□てるてる坊主
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曇天の空を見上げ家の軒下へ視線を写して
アナタは薄く笑う。
「首吊り。」
不吉なことを笑ってアナタが云うから
私は苦く小さく笑うの。
「だってありゃ首括ってるみてぇじゃねぇか。」
あっけらかんと綺麗な笑顔で云うから周りは引くのよ?
「いんだよ、判るヤツだけいりゃ。」
「………ちょっと、心の声に答えないでくれません?」
「はっ、じゃぁ顔に出すなよ百面相。」
綺麗な顔をイジメっ子の顔に歪めて
愉快そうに私の額を叩いた。
「…叩かないでくれません?」
「大丈夫だ安心しろ。お前はもう莫迦にはならん。」
ひどい言葉を受け合って凄く楽しそうに笑うから
私はとても複雑な気になる。
「………意地悪云わなきゃ、凄くモテるよ?」
高い身長もスッと通った鼻筋も切れ長な綺麗な眸も
アナタのすべては人を惹き付けるから
隣に立つちんちくりんな私はいつだってドキドキ。
「はっ、」
やっぱり小莫迦にしたように鼻で笑って腕を組む。
その動作にすら目を奪われてしまう。
「興味ねぇな、他人なんか。」
冷たい台詞だけどアナタはちょっと排他的なだけ。
「手厳しいね。」