短篇

□夏の大三角で逢いましょう。
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肌に張り付く陽気を他所に楽しそうに君が夜空を仰いで笑う。



「明るい三つの星を繋げると三角定規みたいに成るとこがあるでしょ?」



指差す先は遥か広大な幾億年先の未來にある光。



「あー…、アレ?」



生返事で僕は答えて見上げる君の横顔を見る。



「そうそう、アレが夏の大三角!」



子供みたいにはしゃぐ君の大きな眸がキラリと光って僕はよろよろ。



「あー、天の川の…」


「そう!さすが物知り!!」



嬉しそうに手を叩いて数多の星々へ君は手を差し出す。



「沢山の光がこうやって手を伸ばすと応えてくれそうだよね。」



言葉とは裏腹に寂しげに眉を下げるから示すその意味(さき)が知りたいと思った。



「今届く光はホントは何光年も先の光で、この星に光が届くときにはもうその惑星は無いかもしれない。」



博識な君。

キラキラした眸に星を宿すから
いつか星みたいに消えてしまいそうで僕はいつだって泣きたくなる。



「ベガはアルタイルに出逢えたね。」



ポツリと囁くみたいに君が笑う。



「そんなにおり姫とひこ星好きだったんだ?」


「んー?あんまり。」


 
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