02/26の日記
00:44
未だ色褪せぬ背中
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初めて見たのは、真っ直ぐに伸びた背中だった。
「まぁたついて来るのか?」
「当たり前じゃん!」
ユニフォーム姿に着替えた兄貴が玄関で靴を履いている音を聞き付けて急いで玄関に向かう。
俺に気付いた兄貴は、振り向いて呆れた顔で俺を見た。
それを無視して俺も靴を履くと、邪魔はすんなよ、と諦めたように兄貴は言って玄関を出た。
俺が小学生に上がったころ、兄貴は既に地域の野球チームに所属していた。
週4回の練習に俺が着いていくようになったのは、兄貴がキャプテンになってからだ。
本当は1年の頃から行きたかったけれど、先輩から怒られる、と連れていってはくれなかった。
兄貴が最高学年になって、俺もチームに入れるまで残り1年になったから漸く連れていってくれるようになった。
「そういえば、この前新人が入ったんだぜ」
グラウンドに向かう途中、兄貴が楽しそうに話し出した。
どうやらその新人って人を気に入っているらしい。
「ピッチャーでさ。腕はまだまだだけど、面白いやつなんだ」
お前の一コ上だから、すぐ仲良くなれると思うぜ、と笑う兄貴に俺はどんなやつだろう、とワクワクした。
「お、もう来てる。ほら、あいつだよ」
兄貴が指差すその先には、一人の少年が一人でピッチング練習をしていた。どうやらピッチャーらしい。
流れるような投球フォームは少し癖があるみたいだったけれど、それでも真っ直ぐに伸びる球筋はネットの中心へ吸い込まれていく。
綺麗だ
そう思った。
真っ直ぐ立つ背中だとか、青い空に映える真っ白なユニフォームだとか、柔らかそうに撥ねる少し長い色素の薄いの髪の毛だとか。
まるで、一枚の絵のような、そんな背中に、俺は視線を奪われていた。
「よしろー!」
隣に立つ兄貴が大声でそいつを呼ぶと、こちらに気付いたそいつが兄貴を見て嬉しそうに笑いながら駆け寄って来た。
「キャプテン!お疲れ様です!」
「お疲れ」
野球帽を脱ぎながら挨拶をするそいつは、兄貴の傍に立つ俺に気付いてキョトンとした表情になった。
「キャプテン、この子は?」
「俺の弟。孝介ってんだ。お前の一コ下だから仲良くしてやってくれ」
俺と兄貴とを交互に見ていたそいつは、納得したように笑顔を俺に向けた。
「俺は浜田良郎。よろしくな!えっと、孝介…くん?」
「孝介でいいよ」
俺が言う前に兄貴が笑いながら浜田に訂正を入れる。
浜田は、はい、と兄貴に言いながらよろしくな、孝介!と改めて俺の顔を見た。
その屈託ない笑顔に、なんだか胸がザワザワした。
きっと、それが最初だったんだ。
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泉恋心自覚編←
『セピア色の思い出』と対になるお話でしたー。
んー。なんだか、
泉兄←浜田←泉的な感じですね(笑)
泉兄は原作に出て来てない割になんだか好きです。
なんでだろう…?
小学校の時って、学年違う知り合いとか普通いませんよね。
のわりに泉と浜田は小・中と仲良かったらしいので、多分野球チーム繋がりかな、と思います。
ちなみに、年齢的に泉兄と浜田はギリギリ同じチームにいたんじゃないかと推測。(確か泉と兄は年齢差5歳ですよね?)
小学校の野球チームは基本3年からだったような気がしますんで、泉は兄と入れ代わりで入ったかと…。
まぁ、基本適当なんですけどね。
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