頂文。

□いつか必ず
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その日の夢は旅をしてる夢だった。

オレは拳銃が武器の旅人。
他に剣士に武闘家、魔法使いみたいなやつに研究員…

どこか懐かしいけど、知らない世界での冒険の夢。

だけど、どうやら夢の中の俺には隣にいてほしい人がいなかった。

いくら探しても呼んでも逢えずに目が覚めた。

寝ぼけた頭で考えて考えて

やっと分かった。

あぁ…そうだ。
あいつがいない。

「は…まだ」



いつか必ず



「世界を冒険する夢ぇ?」

昼休み、特に意味はなかったが屋上で飯を食う事にした。

田島と三橋の2人は最近の練習で疲れてたのか弁当を食べたら日があたって暖かそうな所で寝始めてしまった。


「泉さー最近ゲームでもやり過ぎたんじゃね?」

「する暇なんてねーよ」


笑う浜田にキッパリと言い放てば、そっかと返事をして背中を合わせてきた。


「…重いんだけど」

「まぁまぁ…最近泉とこうやって話す機会ないからさ〜」


えいっと背中で浜田を押し返せばちゃんと支えてくれた。


「でもその夢、浜田でてなかったぞ?」

「まじ?あーあ、オレ夢の中でも泉と一緒いれないのかぁ」


背中ごしからでも浜田が残念そうに笑ったのが分かったからすぐに言ってやった。


「ちゃ、ちゃんとお前の事探したからな!探してたから!」


正面に回り込んで顔を覗き込んだら目を丸くさせていた。

それから(こいつには似合わないような)ふわりとした笑顔で頭を撫でられた。


「な…なんだよっ」

「いや、可愛いなーって思って」

「ガキ扱いすんな!」


ぼすっと腹を殴ってやろうとしたがその前にはもう浜田の腕の中にいた。


「ありがとな、探してくれて」

「…なんでお前が礼言ってんだよ。たかが夢だろ?」

「そんなたがが夢ん中でも泉はオレを探してくれただろ?
隣にいなかったから探したって、すげー嬉しい」


肩口に囁かれる言葉に顔が赤くなるのが分かった。


「もし仮に、俺がいなくなるような事があっても泉が呼んでくれれば絶対に行く。泉が危険な目にあってたら絶対助けに行く」

「…夢の中でも…か?」


顔を上げて目を見れば少し考えから

「いつか必ず。絶対泉の隣にいくから」

と答えたこいつはかっこよかった気がした。


「…サンキュ」


安心したからか三橋達の様に眠気がきた。


「…あと30分あるし眠いから寝る」

「この体勢で?」

「ん。この方が落ち着くから…」


もう一度浜田に体を預けたらちゃんと受け入れてくれた。


「…おやすみ」

「おやすみ、泉。いい夢みろよ」


オレは暖かいぬくもりの中眠りについた。




なぁ、浜田…
お前がオレの隣に来てくれるまで、ずっと呼んでやる。

だから、いつまでも隣にいてくれ…な?



その時みた夢は旅をしてる夢だった。

オレは拳銃が武器の旅人。
他に剣士に武闘家、魔法使いみたいなやつに研究員…

どこか懐かしいけど、知らない世界での冒険の夢。


それからオレの隣にはもちろん大切なあいつがいた。







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