頂文。

□すいーとせぶんす
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「これほんとにいいの?」
「うん。水谷君ケーキ食べれたよね?」

水谷が篠岡から渡されたのは直径10cm程度の小さな苺の手作りショートケーキ。




すいーとせぶんす




何でか分からないけど4限の体育の後、篠岡からケーキをもらった。
ケーキ好きだし、篠岡から貰えたって事でかなり舞い上がって教室に帰った。

「クソレ何持ってんの?それケーキ?」

弁当を持って阿部は席をくっつけてきた。

「へへっいいでしょ?篠岡にさっきもらったんだ〜」

すると阿部は心底びっくりした顔をとってきた。

「何その顔?」
「いや…ケーキ…」

てっきりオレは部員全員が篠岡から貰ってるんだと思った。
だけど今の反応からして貰っていない。
特に篠岡は阿部に好意を抱いてそうだったから…
その阿部が貰ってないって事は――――

「勝った!」
「は?何が?」
「だって阿部ケーキ貰ってないんでしょ?」
「…あぁ。ショートケーキは貰ってない」

…やっぱ勝ったよ!
もしかして篠岡、オレに好意を抱いてくれてる?
チラッと阿部を見ると普段ならしないような凄い笑顔をしていた。

「…今度は何なの?」
「え。だって水谷君はそのケーキをオレにくれるために篠岡から貰ってきてくれたんでしょ?」

…いや、違うし。しかも"水谷君"って。

「阿部も篠岡から作ってもらえばいいじゃん」
「オレは今食べたいから」

これだから阿部はオレ様なんだよぉ…

「やだよ。これのケーキはオレが「あれ?水谷ショート貰ったの?」
「え?」

声をかけられた方を向いたら花井が弁当とチーズケーキを持って席をくっつけてきた。

だけど同時にぶすっとケーキが嫌な音をたてた。
振りかえればケーキにフォークを突き刺しオレのケーキを口にいれてる阿部が目に映った。

「うん。うまい」
「『うまい』じゃないよ!もうひどい…ところで花井のそのチーズケーキはなんなの?」
「あぁ、これ?水谷と同じで篠岡から貰ったやつ」

え?
花井は続けて話す。

「あれ…違った?阿部も貰っただろ?」
「あーオレはチョコ。さっきもう食った。」

はい?

「え、だってさっき阿部貰ってないって」
「貰ってないぜ?ショートケーキは」
「…さっきの驚いた顔は?!」
「水谷も貰えたんだな〜っていう驚き。ショートケーキもなかなか美味かったぜ。篠岡によろしく」

そしてまたあの笑顔でそうオレに言い放ち弁当を食べ始めた。



結局な話、篠岡は皆にケーキをあげていて、オレのケーキは半分食べられた状態だった。

さらば、オレのケーキ…



End

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