君と世界と、僕。

□第2話
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荷物を置いて宿屋を出た泉と田島が最初に向かったのは、洋服店だった。

街の中でも比較的大きな洋服店なのか、多種多様な服が揃っている。



「……婦人服……子供服……」



店の天井にぶら下げられた案内板を見ながら、目的の場所であるメンズ服が置かれている場所を探して歩いて行く。



「……少女服?………戦闘服………………戦闘服ぅ!?」

「そこピッタリじゃん!」



見たことない案内板に思わず立ち止まってしまった。田島は慣れたように戦闘服らしき服がひしめき合うコーナーへ止める間もなく飛び込んで行ってしまった。

多少戸惑いながらも、田島のあとに続いて泉も戦闘服コーナーへと入って行った。










「泉〜!コレどうよ?格闘家って感じじゃねぇ?」

「おお。結構キマッてんじゃん」



見当たらないと思ったら、田島は早速洋服を試着していたらしい。学生服とは違う恰好におぉ、と泉は声をあげた。

田島が選んだのは言われてみれば格闘家のような服だった。
落ち着いた赤い色をしたノースリーブのラフだがセンスのいいトップスに、深い藍色のゆったりとした膝下丈のボトム。シューズは見たことのないデザインだが、スニーカーのようで動き易そうだ。デザインは奇抜と言えば奇抜だが、決して元の世界にいないか、と言われれば否定は出来ない感じだ。

意外な田島のセンスのよさに驚きながら、泉は自分の服を探し始めた。









「ん〜、こんなもんか?」

「泉にはこっちの方が似合うぜ!」



適当に撰んで試着に行こうとしたとき、自分の洋服の会計を済ませて来た田島が一着の洋服を持って戻って来た。



「そうか?……じゃあソレ着てくる」



今まで自分が選んでいた服を戻して、田島が持ってきた服を受け取る。
洋服に関しては自分は特に頓着しているわけではないため、センスは明らかに田島の方がいいだろうということは今の田島の恰好を見て確信している。
そのため泉は文句を言わず田島が持ってきた服を受け取ったのだ。



「どうだ?」

「おー!いいじゃん!」



田島が持ってきた洋服は、赤で模様が描かれたフード付きの白いTシャツと、その上に着る左右の胸と腰辺りにポケットがついた少し長めのベージュ色の上着。それに膝上丈の深緑のパンツ。生地も軽く、体を締め付けないラフな感じの服で非常に動きやすい。
ちなみに靴は黒のハーフブーツだが、不思議と通気性はいいようだ。



「じゃあコレ買ってくる」



田島にそう言ってレジに向かおうとしたが、いつの間に現れたのか店員らしき人物が傍まで来ていて泉は驚いた。
支払いの時、金の心配が頭の片隅に過ぎったが、思っていたよりも財布が充実していたため、いらぬ心配となった。









「ゲームで情報収集といや、やっぱ酒場か?」

「俺達未成年じゃん。入れねーよ」



格闘ゲームばかりする泉がなんとかRPGを思い出しながらした提案は、あっさりと田島に却下された。


ゲームの主人公だってたいてい未成年じゃん。


心の中でそんなことを思ったが、未成年が行けない場所に野球部の奴らがいるとは思えないので、泉は大人しく田島に従った。



「じゃあ他にどっかあるか?」

「普通街っつったら教会とかあるよ。そこでクエストとか聞けるし」

「クエスト?」



聞き慣れない単語に泉は首を傾げた。



「あぁ、クエストってのは依頼のことだよ。依頼達成したら金とかアイテムとか貰えんだ」



小遣い稼ぎ!と笑って言う田島に成る程、と泉は頷き、行き先を教会へと決定した。



「教会にクエストとかあるなら人も集まるだろうし、そこで情報収集出来っだろ。うまくいきゃ誰かいるかもだしな」

「おー!泉あったまい〜」



ぱちょぱちょと頭の上で手を叩く田島に泉は呆れ顔をして笑った。



「三橋がうつってっぞ」

「あはは〜。そういや三橋といえば、浜田も来てるかもな!」



何がどう繋がって浜田の名前が出て来たのかは謎だが、泉も頭の片隅でそれをずっと考えていた。



「俺達がこっちに喚ばれた時、浜田も近くにいたから、巻き込まれて来ちゃってるかもな!」



浜田アホだもんなー。と笑う田島に、泉も違いねぇと笑った。





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