月虹群雲、乱れて候。
□4章
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未知との遭遇を果たしてから、早数日が過ぎていた。
原因は判ったのか判らないのか、その件についてヴァーグが口を開くことは無い。
オレも、わざわざ問い詰めないから。
なんだか酷く、聞きにくいのだ。
彼が居ない間にあった出来事を、自分でももてあましているせいかもしれない。
いやだって―――世界平和とヴァーグを天秤にかけてヴァーグを取ったみたいじゃないか?
その事実はかなり、羞恥心を煽るものがある。
多分ヴァーグに言っても全く理解してくれないだろうが。
「次の街まで、結局どれくらいなんだ?」
「まぁ、それほど長く掛かりもするまい」
「ふぅん……」
一つ目の街が見付からない時点で大分掛かってしまっている気がするのだが。
見せられている地図の方角はあっているのだから、いつかは着くのだろう。
オレは特に危機感も無く、のんびりとそう考えた。
いや、本当ならもっと、色々危機感を持って行動しなくてはならない場面なんだが。