月虹群雲、乱れて候。

□3章
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ジュレインの国土に足を踏み入れてから、早半月が経とうとしていた。

早、といっても同じ道を通りたがらない誰かさんのおかげで、そもそもウルパからこのジュレイン第一の町、バーラウに来るまでに4ヶ月掛かっている。

道案内までしてくれているので余り大きく出られないが。

魔属が道案内するなんて、かなりのサービスだと言われなくても判る。

「……あー……バーラウってなんか、閑散としてるな?」

「今まで通ってきた町がそれなりに大きい町だっただけの事、バーラウが特別小さい訳では無いわ」

「そう言うんじゃ無くさ、人通りが無いって言うか淋しい雰囲気」

「仕方も無かろう。何もない町だ、取り立てるべきもない」

「そうか……」

つまり典型的田舎町だって事か。

何もないとなれば、長居も無用だ―――いや、田舎をバカにする訳じゃないけど。

この町に来るまでに追っ手も何もないのを見ると、どうやらマルダラの問題はオレを諦めた様だ。

それはそうだろう。

魔属と共に消えた人間を宛もなく探す事など出来はしない。

勿論、他の理由―――門から出て行った痕跡を辿っているという可能性もあるが。
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