あの空の向こうに

□05 指
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私は愛機に乗り込みヘルメットを被り、マスクを装着し、ホースを酸素発生装着に接続させる。
整備兵がラダーを上がって来てハーネスの装着に手を貸してくれる。

点検を終えた私は手信号で整備兵に電力送るように合図を送る。外部電源装着から電力が送られ、各計器に光が宿っていく。ふたたび各計器をチェック。そして無線のチャンネルを整備に繋ぎ
『ペガサス15、整備へ感度はどうか?』
と問う。
『整備、良好。』
と返事が帰ってくる。
『こちらも良好。圧縮空気送れ。』
と言う。
『送ります。』
という言葉の後、機外圧縮機から圧縮空気が送られエンジンが回り始め、甲高いエンジン音が響き始める。
エンジンの回転計を見、針が10%を越えた所で右手人差し指を立て点火ボタンを押しながらスロットルをアイドル位置まで押し上げる。
20%で指を2本、30%で3本、40%で4本、回転計の針が50%に近づいた所で私は
『切れ。』
とエンジンから響く爆音に負けじと叫ぶ。

私が乗る川西 Ka-2から外部電源装着と圧縮機外され、遠ざかって行く。
Ka-2、ソビエトとの関係が不仲になり始めた時期に日本がMig21を再設計した機体、機首の空気取り入れ口を廃し、機首に今まで積めなかったような大型レーダーを搭載。レーダー誘導ミサイルによる目視外交戦能力を得て、航続距離を得るために胴体を延長。翼も単純なデルタ翼では無く、前縁にストレーキを着けている。

機首にあった空気取り入れ口をSU-15やF-4の様に主翼上に儲けている。Ka-2はSU-15と形状が酷似しており、違いがあるとすればKa-2が単発であると言っても過言では無い。

その格好から西側からKa-2はミニフラゴンと呼ばれていると私は風の噂で聞いた事がある。
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