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□気が付けばそこは特等席
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「じゃー、今日は席替えするぞ」

一月に一回の席替えの日。
今日もあとはHRのみというときの担任の一声だ。

そしてあちらこちらからは「やったー」「ついにかぁ!!」という喜びの声や、逆に「えー、やだぁ!!」という悲しみの声があった。



どうせ、この席だし。

あたしは目が悪い。
眼鏡をかけないと黒板なんか見えないし、眼鏡をかけてもやっとだ。
故にいつも決まった席しか座れない。


確かに友達が近くだと嬉しいし、楽しい。
けどみんなみたいに席替えの楽しみはあんまり無かったりする。


みんなが騒いでる間に先生は黒板にでっかく席票を書いた。
そして、今と同じところにあたしの名前を書く
【窓側から2列目の一番前】
これもいつもと一緒だ。



「じゃ、くじ引けよー。こっちから行くからなぁ」

締りの無い声で担任はくじが入った箱を持ち廊下側のほうから回っていく。

それと同時に「よっしゃぁ!!!」「ヤダぁー;;」という賛否両論の声

くじを引いた人は次々と黒板へ書き込んでいく
次第に埋まっていく席票のうち、あたしの隣はまだ書かれていない。


誰かなぁ・・・


そんなことを思ってるうちに席替えは終わったらしく
先生は前へ戻って来ていて、最後の列の人たちは名前を書きに来ていた。



隣を越前くんが通った。


窓際の一番後ろの席から名前を書くために。

不意に「隣がいいな」って思った。





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