Flower

□パンジー
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4年後の世界がこんなにも息苦しいものだとは、あの頃は思わなかったのに。
何もかもが嘘だったら。何度もそう願った。


アレルヤを収容所から奪還してすぐに、アレルヤはソーマ・・・もといマリーを連れて帰ってきた。
研究所に居たころからの知り合いで、アレルヤはベタ惚れで。
おまけにキスまで見せ付けてくれちゃって。
今のアレルヤは何処にいても何をしてても、マリーマリーマリーマリーマリー。


ああ、吐き気がするわ。



攻撃を受けて弱っているプトレマイオスは只今地上にて修理中。
どうしても同じところにはいられなくて(っていうか見ることが出来なくて)そっと外に出てみる。
渓谷に咲いている花はどれも綺麗な色をしていて、それを求める蝶なんかも居た。
けれど今の私にはどれもモノクロにしか見えないの。
だって、大切なものはもう無くなってしまったから。



どうしてあの子なの?
だって彼女は人革連の軍人で、何度も私達と戦ってきたのに。
アレルヤだって、何度も何度も苦しめられてきたのに。

今更、別人格でした。
ってそんなのですむわけない。
貴女だって、私の大切なアレルヤを苦しめ続けてきたのに。

こんなのって嘘でしょう?



どうしてですか?神様。
どうして彼女なのですか?
どうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!

どうして私じゃダメなのですか?
彼をずっと近くで支えてきたつもりです。
別人格の彼ごと愛してきました。
それなのに、それなのにどうしてあの子なのですか?


考えれば考えるほどに頭が痛くなっていく。
それと同時に蘇ってくる美しかった4年前。あのころ。
出来るならば何も知らなかったあの頃に戻りたいの。

なんて、そんなこと出来やしないことも分かってる。
本当は違うの、頭の中ではちゃんと分かってるの、そうよ、間違ってるのは。
祝福すら出来ない私だ。
けれど認めてしまったら、私の居場所がなくなりそうな気がして。
私の存在が消えていきそうな気がして。


だれか、たすけて。


ふと地面を見ればオレンジと黄色に咲いてる花。確かパンジーだったわ。
ああ、ここも私の居場所じゃない。

足元に綺麗に咲いてるパンジーに無償に腹が立って、私は踏み潰した。







パンジー
(私を想ってください)







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