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□大人の半歩手前にて、
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※学パロ





この関係がいつまでもいつまでも続くものだと思っていたのに。



「ねぇ、ニール?」

大学受験が終わって、3年生に残された行事は卒業式のみ。
長かったようでやっぱり一瞬のように通り過ぎた高校生活にピリオドを打つ日が、ついに5日後。
最近は雪はまるっきり降らなくなり、代わりに河原沿いには黄色い菜の花が咲きだす気候。何処を見回しても春の面影が見えた。



「どうした?」

この河原沿いを一緒に並んで帰れるのも、残り5日。
高1の時初めて同じクラスになり、何気に部活が同じで(部員とマネージャーっていうね、)そして家がご近所で。
そんな偶然が折り重なって、ニールとは親友と呼べる立場を築き上げたこの3年間。

そんな日も、後5日。


ふ、と見上げればそこにあって当たり前の顔。
殆ど毎日のように会って、話して、笑って。そんな日常だったのに、やっぱり永遠という言葉は存在はしない。



「ん・・・、なんか寂しいな、と思って」


頼りになって大好きな先輩達もこうだったのだろうか。
可愛い後輩もいずれこう思う日も来るのだろうか。

もう、2度とニールの笑顔を見れなくなっちゃうのかな。
そんなの考えたこともなかったのに、ここまできたら考えらざるを得ないのだ。
大学は違う、家が近所ってだけなのに。
きっとサークルだのレポートだのが重なって会えるのは本当に少ないはずだ。

あーあ、どうしよう。
視界が歪んでしまうんだけど、止められそうにない。



「泣くなよ、な?」

泣き出した私の頭をぽんぽんと撫でながら苦笑いで慰める。
私が泣いたらいつもこうだ。そして、決まってポケットから、あめ玉1つ。



「ほら、これやるから元気出せ」


今回も例に漏れることなく出されたのはココア味のあめ玉。
そうしていつもわたしは、ここで泣き止むのだ。(決して飴に釣られたわけじゃないからね)
いい加減、子供じゃないっつーの。なんて思いながらね。



「あ、りがと」

大人しく受け取り口の中へ放れば、口いっぱいに広がるココアの優しい味。
風に吹かれる菜の花の香りと混じってとても気持ちが良かった。



「会おうと思えばいつでも会えるだろ。」


ほら、俺たちご近所さんだし。そう言って笑うニールは、なるほど。会った時と全く変わらない。そうだ、この笑顔が好きなんだよ。
そうだよ、たかだか大学生になるくらいであたし達の友情が壊れるはずがないわ。(そんなやわな付き合いじゃないもの)
学園祭だってあるじゃない。大丈夫、すぐ会えるもんよね。



「ニール、彼女とか作らないでよね?」

「!、」

会う時間が、話す時間が減るのは嫌なの。
何様な立場だよって感じだけど親友様の立場なんで。(何か文句でも?)
それに、ニールに彼女なんて考えられないのよね。


そう話しているうちに何時の間にかいつもの分かれ道。
向かって右がニールで左があたし。
分かれ惜しくてここで2時間ぐらい話してたこともあったけ。(なんか懐かしい)
さすがに冬は寒いから、どっちかの家に転がり込んで。(ニールの家はライルとエイミーが居てとっても賑やか!)




「じゃあね、また明日」

「おう、明日な」

この言葉も、あと5回まで。
卒業すれば「明日」じゃなくて「今度」になって。
卒業・・・って、あ!!


「ニール!!」

歩き出してたニールを呼び止めて、忘れていたことを思い出す。
別に今日じゃなくても良かったんだけど、思い立ったら吉日だから。




「第二ボタンはあげちゃだめだからね!!」

あたしんだから、そう付け加えればお前意外にはやらないよ、だって。
さすが親友。わかってるじゃない。
だって、あたしの高校時代はニールで始まりニールで終わるの!(これあたしルール)







大人の半歩手前にて、
(なぁ、ライル。これって告白するべきだよな・・・)
(でもあっちは友情だと思ってるぜ?)
(だよなぁ・・・)








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