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□曖昧な生き方を覚えてしまった
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それはやっぱり突然で。




「・・・・・・・・・ロックオン?」



4年ぶりにソレスタルビーイングに戻ってきた刹那。
身長も伸びて、ああ、4年って大きいんだなって改めて感じた。
生きててくれて良かった、とも。

そして、



隣にいたのはロックオンだった。




どさっ
手に持っていた書類が、落ちた。けれどそんなことはどうでもいい。
だって帰ってきたんだもの。


「ロックオン・・・なの?」

声が震える。もう帰ってこないかと思ってた。
だけど、あたしの目の前にいるのはロックオン。



「よ、よかっ・・・良かった・・・」

ああ、涙が出る。ロックオンが帰ってこなくなってもう泣かないって決めてたのに。
急に泣き出したあたしに刹那はどうしたらいいのか分からないようだった。
もう、こんなとこは昔のまんまね。




「っ、おかえり」

そう言って腕の中に飛び込めば、ただいまと言って抱きしめてくれる腕。
ぐしぐしと泣いてるあたしの頭を撫でてくれる。




本当、優しいのよ。


分かってるのに、甘えたくなっちゃうじゃない。

だって、煙草の匂い。違う香水。そして瞳の色。
分かってる、貴方はニールじゃないんでしょう?

きっと刹那が気を利かせてくれたのね。
彼に、演技してくれって。


本当は貴方のこと知ってるのよ、ライルさん。


けど、・・・けれどもう少しだけ、貴方の優しさに付け込まさせて下さい。
臆病で卑怯なあたしは4年経っても真実を見つめれないでいるから。





曖昧な生き方を覚えてしまった
(こうして自分の気持ちは誤魔化せる、ってこと)
(けれど前には進めないってことも。)







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