short
□繋がった
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「ねぇ、アレルヤ」
「ん、なんだい?」
「・・・・・・なんでもない」
今日は久々のお休みだからアレルヤと一緒にお買い物。
お洋服見たし、美味しいランチも食べた。欲しかった本も買えたし、今日は満足。
・・・・・・・のはずだった。
だけれどなぜか胸にもやが掛かって、すっきりしない。
試しにアレルヤの名前を読んでみるけど、いつも通りニッコリ微笑んでくれるアレルヤ。
その笑顔は癒されるはずなんだけれど、やっぱりすっきりしない。
なにか心配事とかあったのかな。自分でも気付かないうちに・・・。
戸締りはしっかりした、ガスの元栓は締めた、エアコンは消したし、電気もバッチリ。
買いたいものは買ったし、夕飯の材料は昨日買っておいた。
おかしい、どう考えても完璧なはず。(だったらどうして)
「うーん、」
「どうしたんだい?さっきから」
ついに見かねたのだろう、アレルヤが心配そうに覗き込む。
ああ、銀色の瞳が綺麗だなぁ。
なんて心配してくれるアレルヤには本末転倒だけど。
「・・・・・・・あっ!」
「なに?」
「思い出した。」
今日の忘れ物。
そう言って、アレルヤの右手に自分の左手を重ねて。
「手、繋いでなかったから」
やっとわだかまりが取れてすっきりなあたしは、アレルヤの紅くなった顔には気付かなかった。
繋がった
(掌には君の温度が)
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