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□俺の大切な人が
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「ソラン、・・・・生きて。」
最後の言葉さえも、俺のための言葉だった。
だんだんと俺の腕の中で冷たくなっていく姉さん。
それと比例して真紅が広がった。
こんな内戦で、銃声が飛び交ってて、ガラガラと建物がぐずれる音や、助けを請う悲鳴。
それほどうるさい世界のはずだったのに。
なぜこんなに静かなのだろうか。
「っ、姉さん!」
死なないで。
おれのたった一人の家族だったのに。味方だったのに。信じていたのに。
誰よりも愛していたのに。
やっぱりこの世界に神なんていない。
なぜ俺から何もかも奪う必要がある。
なぜ俺だけがこんな目に遭う。
なぜ姉さんが死ななければならない。
優しくて、強くて、誰よりも俺のことをわかっててくれる姉さん。
その姉さんが死んだって言うのに。
もう笑わなくなったって言うのに。
なぜ争いはなくならない、なぜまだ銃声が聞こえる。
ああ、この哀れな世界は俺が変えて見せるよ。
俺の大切な人が息を止めたっていうのに、
(なぜ世界は動いている)
(こんな世界なんてくそったれだ)
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