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□世界はまだ、
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「この世界に神なんかいない」
そういう刹那の顔は、いつも悲しそうだった。
けれどあの緋色の瞳はまっすぐ前を向いているの。
私と大して変わらない目線で、私より年下のくせに。
そんなに悲しいこと言わないでよ。そんなに悲しい顔しないでよ。
「刹那、愛してるよ」
ちょっと照れて、微笑むその顔はガンダムに乗ってるとは思えないほど、綺麗で。
なんだか歳相応で、気持ちが一杯になるんだ。
胸の辺りがきゅー、ってなってね。ほんとに誰よりも愛しいんだ。
ねぇ、刹那は本当に神様なんかいないと思ってる?
私は神様はいない、なんて思えないよ。
だってもし、この出会いが偶然とか、運命だったら。
刹那にめぐり逢えたことは、キセキに等しいと思わない?
そして刹那のことを好きになって、
刹那も同じ気持ちで、
二人で一緒に笑いあえてるのは、きっと神様のおかげだよ。
「刹那、綺麗だね」
「ああ。」
オレンジ色に染まる景色は、一生忘れないよ。
たとえ世界が変わっても、ここだけは変らないでいて欲しいの。
なんて、わがままかな?
世界はまだ、
(十分綺麗です。)
(この夕焼け空は、誰にも汚されない)
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