short.

□願い事ひとつ
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サンタさん、私の願い事・・・叶えてくれますか?



12月。
太陽が沈むのが早いのに係わらず、街のほうからは明かりが絶えないのはもうすぐ恋人達のクリスマスだから。
何処もかしこもイルミネーションで綺麗に装飾されてキラキラ。
ショッピングセンターやレストランにはでかでかとクリスマスの字が掲げられている。



「きれー・・・」

街から少し離れたところにある私のベランダからはきらきらのイルミネーションも、浮かれている恋人達も全て別世界。
子供の頃はあんなに楽しかったクリスマスも今では只の平日でしかないのだ。

サンタさんの正体は実はパパとママや、幼稚園の先生たち。
本当は何処にもいないんだって。

そう教えてくれたのは確か小学校の頃の友達だった気がする。
サンタさんはパパとママ?
だったらパパとママがいなくなったらどうすればいいの?
10年前のテロで、みんなみんないなくなっちゃったんだよ。

答えは簡単。
サンタクロースは何処にもいないってこと。
そして、そんなこと願うだけ無駄。



「・・・やーな大人」

あまりの自分の考えに呟いては嘲笑ってみた。(余計に虚しくなったけど)

今日もとうとう玄関のチャイムは鳴らなかった。
帰ってくるから、そう言い残した愛しい奴は未だ空の上。
帰ってくる気配なんかありゃしない。



「サンタさん」

こんなときに都合よくてごめんなさい。
他には何にもいらないから、どうか叶えて欲しい願い事があるんです。




「ロックオン・・・じゃなくって、ニールが無事に帰ってこられますように」

本当は一緒にクリスマス過したいな、とか
ずっと一緒にいたいな、とか
キスして抱きしめて欲しいな、とか
数え切れないほどあるけれど、あんまり欲張りになるので1つだけ。




どうか叶えてくれますか?





願い事ひとつ
(他には何もいらないから、)








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