short.

□愛をインストール
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※ロボットパロ





私ハ、唯ノアンドロイドナノデス。




「ご主人様、コーヒーをお持ちしました。」


コトリと入れたてのコーヒーをソファのご主人様の前へ。
ゆらゆらと白い湯気は、ご主人様お気に入りの緑のマグカップから上っている。




「サンキューな。それとご主人様じゃなくてロックオン、だろ?」


「それは・・・命令なのですか?」


苦笑いをしながらご主人様は私に名前を呼べ、という。
そんな権限は私にはないのに。

だって私は、唯のアンドロイド。

それが命令ならば、どんなことでも聞きましょう。
それに忠実に従うのが私の役目なのです。(だから命令だと言ってください)

下から見上げるようにこっちを見上げるご主人様の瞳は、綺麗な色。
私のような人工物には出せない色だ。(私の瞳は黒一色)
もっとも私に『綺麗』と言うことをプログラミングして下さったのはご主人様なのだが。
他にも、『優しい』や『感謝』などもプログラミングして頂いた。



「命令?そんなんじゃねぇよ。」


“だってお前は大切な存在だからな”



どくり、
全身の血が逆流するかのように私のボディが大きく脈を打った。(血なんかは流れていないのだけれど)
同時になんとも言えない、この胸騒ぎ。こんなことは初めてで。



「ご主人様」

「・・・ん?(ご主人様、か)」



「私は、とうとう壊れてしまったようです。」



アンドロイドなのに、こんなこと起きるはずがない。
とうとう私も寿命なのだろうか。

もう、ロックオンと一緒に過せないのだろうか。



「恐らくウイルスです。」


その言葉を聞き、慌てて私を点検してくださるご主人様。
もう私は放っておいて下さい。
きっと疲れているはずなのに。(休んでいてください)



「・・・大丈夫、みたいだぞ」


・・・・そんなはずは。(アリエナイ)
だってそれ以外にどう説明しろと仰るのですか?
ああ、どういたしましょう。私の許容理解範囲を超えています。


「では、ご主人様。私はどうしたのでしょうか」


“ロックオンを見ると変な胸騒ぎがするんです。
そして自分が自分でいられなくなりそうなんです。”


その答えは私にはわかりませんでした。
どうか、私に教えてください。

貴方の笑顔を見ると、とても苦しいんです。けれど安心するんです。
悲しい顔をしていると、とても心配になります。

でもきっと、これはプログラムされるだけでは分からないような気が致します。
ご主人様、どうか教えてください。

これは、なんという感情なのですか?





愛をインストール
(人を愛するという感情)
(私は貴方から教えてもらいました。)








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