short.

□シャム双生児の群盲
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貴方は彼ではないけれど。





「ロックオン?」


部屋へ入れば電気も点けずにベッドでうずくまっている彼を見つけた。

彼、とはロックオンの事なのだがそれは4年前の彼、ではなくライル。
顔も声もそっくりで私だって最初は見間違えたけれど、ライルはライル。彼とは別人なのだ。
わかっているからこそ、彼はこうして戦っている。



国連軍でも、アロウズでもなく、

ニール・ディランディと。



「貴方は彼じゃないのよ。自分らしく振舞えばいいじゃない。」

ベッドの淵に座ると、ギシリとベッドが鳴る。
それから彼の頭へ手を持っていき、そっと撫でればふわふわのねこっ毛が気持ちよかった。
色、髪質も似ているがライルのほうがはねが少ない。

ほら、こんなにも違っているのに。


「ニールにならなくてもいいのよ。ロックオンはライル・ディランディなのだから。」


私も一緒にベットに倒れて、ライルの横に寝転んでみる。
香りも雰囲気もニールのものではなく、彼自身のもの。
その全てが愛おしくなって、彼を抱きしめれば濡れた頬が胸元に当たった。



「・・・・・・貴方は独りじゃないわ」

そう言って、抱きしめる腕の力を強めるとライルの腕も強く抱きついてくる。
ふわふわの髪の毛が首元に辺り、少しだけくすぐったい。



「それでも俺は・・・・」





“兄さんを超えたいんだ”




そう呟いた声が、私の胸元に滑り落ちていった気がした。







シャム双生児の群盲
(誰も"俺自身"なんか見てはくれないんだ)









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