short.
□長い長い夜にさよなら
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「ただいま」
「・・・っ!」
ああ、神様。これが夢ならどうか覚めないで下さい。
一生夢のままでいいから。
「刹那、なのね?」
「・・・ああ、」
少し低くなっている声、背も伸びた。
4年前までは同じくらいだった目線は、今では見下ろされている。
肩幅も広くなって、髪も少し伸びたみたい。
4年の歳月の長さを思い知らされる。
「逢いたかった」
その言葉と共に零れ落ちた涙。
駆け寄って腕の中に飛び込めば、逞しくなった腕が私を抱き締める。
変わったようで、ちっとも変わらないのね。
この体温も、香りも、何もかもが。
相変わらず私が泣いたらおろおろしちゃって。
ほんとに変わらないわ。おかしくって、ほっとしてまた涙が止まらない。
「刹那・・・」
もう2度と会えないと思ってた。
こうしてまた抱き締めてもらうなんて。
「今度いなくなったら、絶対に許さないんだから」
強引に唇を奪えば、返事と共に優しいキスの雨が降る。
長い長い夜にさよなら
(おかえりなさい)
(もう絶対に離さないで)
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