小説・壱

□本当の自分
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薄暗い部屋の中から女の喘ぎ声が聞こえる。



喘ぐと言っても演技だが…


客を満足させられれば自分に報酬が入ってくる。


葉月が『感じる』から『感じている振り』になったのはいつからだろう…。


最近、こんなことばかりが続いて身も心もボロボロだ。
ここは遊郭なのでそんな行為が行われていても当然。男を僖ばせるために遊女がいる。


彼女達の身体の調子なんて関係ない。

葉月は行為が終わるのをただ待ち続けた。
油ぎった男の荒々しい息使いに吐き気がしてくる。




やっと行為が終わり着物を身につけようと着物に手を伸ばした時、襖から声が聞こえてきた。

どうやら次の客が葉月を指名したらしい。
葉月は素早く着物を着て、乱れた髪を手櫛で簡単に梳き、男を取り残してすぐさま部屋を立ち去った。
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