夢ゆめ
□初夜の朝
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朝の日差しが天幕の中に射し込んでくる。
まだ明けきらない夜と朝の中間の暗さ。
目覚めると彼はすでに起きていて扉代わりの布をめくって空を見上げていた。
「おはよう、雛。身体、平気?」
昨日と同じ優しい声。心配そうに声をかけられることが少し意外だった。
「私、何かした?別に重いものとか持ってない。練習だって程々にしたし」
「そうじゃなくて、気持ち悪かったり、辛かったりしない?」
「なん……」
最初は何を言われているのかわからなかったけど、景雅の顔がほんの少し紅く染まっていることと、昨夜のことを思い出し、伝染するように顔が紅くなる。
「だ、だ、大丈夫」
「無理してない?本当に?」
「平気だって言ってるの。私が望んだことよ。景雅は…」
満たされていた。何ひとつ欠けることなくすべてが満月のように完成されたようにみえていた。
「僕は嬉しかったよ。だから、雛に無理させたんじゃないかと思って。理性とかなくなって、嫌なことさせ…」
唇をふさがれた。思うことの半分も言えなくて、言葉にならなくてもどかしく思っていた。
雛の唇が離れてしまうとそれを惜しがっている自分がいる。
「私は、無理したなんて思ってない。つらいなんて思ってない。景雅といられて嬉しかった。だからそんな顔しないで」
女性は受け入れるから。全てをあるがままに受け止めてくれる。
お互いを想いあって行う行為でなければ、それは陵辱でしかないから。
自分の想いをただぶつけて傷つけてしまったのではないかと思ったから。
「ありがとう、雛」
受け止めてくれて。受け入れてくれて。
これからこうして景雅の隣にいられることがすごくしあわせなことに思えた。
同じ寝台で肌のぬくもりさえ感じられる距離。