夢ゆめ

□よくある風景2
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隣で安らかに眠っている女性(ひと)。

長い髪に触れてみる。

やわらかくつややかな髪。

ふんわりと香る花の匂い。

愛しいと思う。


天蓋のすきまから月の光がもれてあたりは表情がわかるくらい明るい。

穏やかにふりそそぐ満月の光は薄布の中からでもはっきりとみえる。


こんな時がずっと続けばいい。


「ん…こーが?」

とても敏感な彼女は他人の心の動きや周囲の変化にすぐに反応してしまう。


「眠れない?」

甘い声が耳に響く。

彼女の声は自分にとって砂糖のような麻薬のような甘美な音で心をふるわす。

「ごめん、起こした?」


首を横にふる彼女の肌はとても白くて、深い青色の瞳がまっすぐに自分をみている。


彼女は今以上に近寄って、肌が触れ合う程によって静かに瞳を閉じる。

形のよい小さな唇からこもり唄とおぼしき歌声が流れてくる。


梗牙もいつしか優しい眠りに包まれる。
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