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□バジリスク〜第四章〜
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『う〜。眠い…』
あのあと、ようやく上司を起こす事に成功し、今は食堂まで歩いている。
私が昼食で、彼はかなり遅い朝食を摂ることになる。
『ご飯とかいらないし…』
「ちゃんと食べないと駄目です。(ボソ)モヤシみたいな体しやがって…」
『おばちゃん。Aセット一人前!』
「人の話聞いてないですね」
『ほら〜。早く注文しないと、人に迷惑掛けちゃうよ?』
「今まで、散々人に迷惑かけといてよく言いえますね…あ!ダンテさん!!」
そこに居たのは、スピリット直属の部下。ダンテだった…
4人掛けのテーブルに一人で掛けている。
そして何よりも印象的なのが……
ダンテの前に置かれた食事の量…
・アサリと隠元豆のパスタ・子羊のポワレ
・ミートパイ
・モッツァレラピッツァ
・ 生ハムメロン
全て特盛。
目眩がする…
有り得ない。どうしたら、あの量の食事が体に入るんだ…。
4人掛けのテーブルに1人しか座れない訳だ。
カウンターで頼んだ食事を持って、ダンテの座っているテーブルに近づくと、既にスピリットがダンテの隣をキープしていた。
あの物凄い量の食事は綺麗に平らげられていて。
ダンテは優雅に食後の紅茶に口を付けていた。
―「食べるのも早いんだ」
「そういえば、スピリットさん食べはじめるの早くないですか?私なんか30分も並びましたよ」
スピリットの食事は既にあと少し。
『あぁ。軍中心部は冠位十二階制度だからね』
「…は?」
『上司優先ってわけ!
ほら俺って軍の最高特殊部班の班長だし?
サイエンティストだけじゃなくて、エイジェントとしても、トップクラスだし?』
「なんですか…。その腹立つ肩書き。
スピリットさんに出来るんならおからにもできますよ」
『ミッフィーの中でスピリットは虫の中でも最下位レベルなんだな』
『まぁ。精進したまえ。周りの奴らをたたき落とし、上に上り詰めることだね』
「じゃあ。手始めにスピリットさんをたたき落とします」
スピリットは『あはは』と無邪気に笑った。
その笑顔からは、感情が全く読み取れない、上辺だけの笑顔に思える。