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□バジリスク〜第二章〜
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『…お前も、私を研究材料にするのか…』
俺の優しい問い掛けには応じず、じっとこっちを見つめる。
「解剖及び質問 実験は一切しない…。誓うよ。
その条件ならどうだ?」
しかしかなり彼女は疑ぐり深かった。
『信用できない』
それがダンテの最初の答えだった。
ぐっ、とその瞳に吸い込まれそうな位に睨まれる。
「此処から出たくないのか?」
『おまえらに、玩具にされるよりましだ!
…科学者は私をまるで玩具で遊ぶように切ったりえぐったり人体実験をする…私に…私には麻酔が効かないということを知っているくせにっ!』
吐き捨てるように叫ぶ彼女は、肩で息をしておりかなり苦しそうだ。
そして何よりも俺が驚いたのは…
もとい、ギョッとしてしまったのは
彼女の瞳から、紛れも無い綺麗な彼女自信の涙が流れ出ていたから…。
…余りにも悲惨すぎる…
俺の凍え切った心でも、彼女の哀れさが解った。
今俺が出すべき一番合理的な答えは………
「また来るよ…」
ダンテの方を見て真剣にいったが、ダンテは俺の方すら見てくれなかった。
だが下を向いて、一応聞いてるようだ。
牢獄の看守に
「轡と枷は外したままで」
と言うと、非難の声が上がるが気にしず、ダンテの頬を撫でる。
びくり と一瞬震えて更に下を向く。
俺は早々にその場を立ち去った…